王山古墳群

王山古墳群：古代の息吹を伝える49基の古墳群

福井県鯖江市日の出町、海抜66メートルの王山と呼ばれる独立丘陵には、弥生時代後期から古墳時代中期（3世紀～5世紀）にかけて築造された49基の古墳が存在します。これが、国の史跡にも指定されている「王山古墳群」です。

王山古墳群は、当時この地域を治めた有力者や首長、あるいは王族の墓であったと推測されています。古墳群は山林に覆われ、良好な状態で保存されていることから、当時の様子を現在に伝える貴重な遺跡となっています。1967年には国の史跡に指定され、現在では遊歩道が整備され、一般公開されている古墳公園として多くの人々が訪れています。

多様な規模と形状、そして出土品が語る歴史

1965年の発掘調査では、11基の古墳（1～7、9、25、31、32号墳）が調査されました。その結果、弥生時代後期の方形周溝墓や方形台状墓（1、3、4、7号墳）の存在が確認されました。これらの古墳は、一辺8～12メートル、高さ1～2メートルほどの規模で、3号墳からは東海や近江地方との交流を示唆する土器が出土しています。埋葬施設は箱形木棺と推定され、副葬品は確認されていませんでしたが、周濠からは壺、甕、高坏などの供献土器が発見されています。

一方、5、6、9、25号墳は、古墳時代前期の方墳で、一辺約8～14メートルの規模です。埋葬施設は箱形木棺と推定され、5号墳からは鉄刀、6号墳からは鉄剣が出土し、周濠からは供献土器が発見されています。

31号墳は古墳時代前期の円墳で、直径20メートル、高さ2メートルと比較的規模が大きく、2基の割竹形木棺が確認されました。第一主体からは鉄剣、鉄鏃、鎌、鍬といった農工具、第二主体からは臼玉が出土しています。

さらに、32号墳は古墳時代中期の円墳で、直径約8メートル。1基の割竹形木棺から鉄剣、鉄鏃、刀子、釶（やりがんな）などの武器や工具が出土しています。

これらの出土品は、王山古墳群の被葬者の身分や、当時の社会構造、さらには東海や近江地方との交易や文化交流を知る上で重要な手がかりとなっています。多様な規模と形状の古墳、そしてそれぞれの副葬品から、王山古墳群の歴史的、考古学的価値の高さがうかがえます。

王山古墳群：未来への継承

王山古墳群は、単なる古代の墓群ではなく、当時の社会構造や文化交流、そして人々の生活を知るための貴重な窓口です。現在も発掘調査や研究が続けられており、今後も新たな発見が期待されています。整備された公園として公開されている王山古墳群は、歴史を学び、自然に触れ合うことができる貴重な場所として、多くの人々に親しまれています。未来世代へと、古代の息吹を伝える貴重な遺産として、その保存と活用が重要な課題となっています。

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