王欽若

王欽若（おう きんじゃく）

王欽若（962年 - 1025年）は、北宋初期に活躍した政治家です。字は定国、諡は文穆。臨江軍新喩県（現在の江西省一帯）の出身です。真宗皇帝の時代に重用され、宰相として国政を担いました。

生涯

淳化3年（992年）に進士に及第し、官吏としてのキャリアをスタートさせます。亳州の防禦推官、秘書省校書郎、西川安撫使などを歴任し、咸平4年（1001年）には参知政事（副宰相）に昇進しました。

澶淵の盟

景徳元年（1004年）、契丹（遼）の聖宗と承天太后が親征軍を率いて南下を開始しました。この事態に対し、朝廷では対応策が議論されました。王欽若は、首都を金陵（現在の南京）へ遷都することを提案しましたが、宰相の寇準は真宗皇帝自らが親征することを主張。真宗は寇準の意見を採用し、自ら出陣を決意します。その結果、遼との間で和約が結ばれました（澶淵の盟）。

寇準との対立

王欽若は、澶淵の盟締結後、真宗皇帝に対し「澶淵の盟は城下の盟である」と進言し、寇準を失脚させました。大中祥符元年（1008年）には、「天書」と呼ばれる天からの手紙が見つかったという事件が起こります。王欽若は、この天書を利用して真宗に封禅の儀式を行わせました。同年より、勅命により『冊府元亀』の編纂を開始し、大中祥符6年（1013年）に全1000巻を完成させました。

晩年

天禧元年（1017年）に同平章事（宰相）となり、天禧3年（1019年）には皇太子（後の仁宗皇帝）の師となりますが、丁謂によって失脚させられます。天聖元年（1023年）に再び宰相に返り咲き、天聖3年（1025年）に死去しました。死後、文穆の諡号と太師・中書令の職が贈られました。

評価

王欽若は、寇準に対する讒言や、封禅の儀式に莫大な財貨を費やしたことなどから、後世の歴史家から強い批判を受けています。寇準との対立は、江南出身の王欽若と華北出身の寇準との地域対立の側面もあったと指摘されています。王欽若の台頭は、宋の建国以来、経済力に比べて政治的に不遇であった江南出身の官僚が進出する先駆けであったという見方も存在します。

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