王禁

王禁（おう きん）

王禁（生年不詳 - 紀元前42年）は、前漢時代の人物で、字は稚君（ちくん）といいます。済南郡東平陵県（現在の山東省の一部）の出身であり、後に魏郡元城県委粟里（ぎぐんげんじょうけんいぞくり、現在の河南省内）に移り住みました。

概要

王禁は、楚漢戦争期に存在した済北王、田安（でんあん）の末裔にあたります。父は王賀（おうが）で、弟に王弘（おうこう）がいます。王弘は、後の時代に重要な役割を果たす王音（おういん）の父にあたります。

王禁自身は歴史の表舞台で活躍した記録は少ないですが、彼の子孫たちが前漢後期から新にかけての時代に大きな影響力を持つことになります。特に、娘の王政君（おうせいしゅん）が元帝の皇后となり、外戚として権勢を振るった王氏一族の基礎を築いた人物として知られています。

略歴と家族

王禁の詳しい生涯については史料が限られていますが、彼が残した子女たちの活躍から、その存在の重要性を知ることができます。以下に王禁の子女について記します。

息子たち

長男：王鳳（おうほう） - 成帝（せいてい）の時代に大将軍（だいしょうぐん）に任命され、権勢を誇りました。
次男：王曼（おうばん） - 後の新を建国する王莽（おうもう）の父。
三男：王譚（おうたん）
四男：王崇（おうちょう）
五男：王商（おうしょう）
六男：王立（おうりつ）
七男：王根（おうこん）
八男：王逢時（おうほうじ）

娘たち

長女：王君俠（おうくんきょう） - 淳于長（じゅんうちょう）の母。
次女：王政君（おうせいしゅん） - 元帝（げんてい）の皇后となり、王氏一族の隆盛をもたらしました。
三女：王君力（おうくんりょく）
四女：王君弟（おうくんてい）

王禁の子孫たちは、その後の前漢の政治に深く関与し、特に王政君が皇后となってからは、王氏一族が外戚として権力を握るようになりました。王莽もその一族の一人であり、後に前漢を滅ぼして新を建国することになります。

王禁の存在は、彼自身が歴史に名を残したというよりも、彼の子孫たちが歴史を動かしたという点で重要です。彼の血筋は、前漢末期から新の時代にかけての政治情勢を大きく左右し、中国の歴史に大きな足跡を残しました。

参考文献

* 『漢書』元后伝

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