王根

王根（おう こん）

王根は、前漢後期の人物で、字は稚卿。魏郡元城県委粟里の出身。

生涯

王根は、王禁の子として生まれた。彼の異母姉は、成帝の生母である皇太后王政君であり、異母兄には、成帝の執政として権勢を振るった王鳳がいる。河平2年（紀元前27年）には、王譚・王商・王立・王逢時ら兄弟と共に列侯に封ぜられ、「五侯」と呼ばれた。

王鳳が権力を握る中、王根ら兄弟は奢侈を競い合った。王根の屋敷内の庭園は、まるで皇帝の宮殿を模したかのような豪華さであり、その噂は民間で歌われるほどであった。

王鳳の死後、従兄弟の王音が執政を継いだが、成帝が城下を巡察した際に王根の屋敷の噂を聞きつけ、その奢侈ぶりに激怒した。王根らは斧を背負って皇帝に謝罪することで、なんとか処刑を免れた。

元延元年（紀元前12年）に光禄勲となり、同年には大司馬・大将軍であった兄の王商が死去。後継者争いの中、王根は王立を差し置いて大司馬・驃騎将軍の座に就いた。

成帝には後継者がいなかったため、皇太子を選ぶ必要があった。綏和元年（紀元前8年）、王根は定陶王（後の哀帝）の祖母である傅氏から賄賂を受け取り、定陶王を皇太子として推薦した。定陶王が皇太子となると、王根は引退を申し出て、後任として甥にあたる王莽を推薦した。

綏和2年（紀元前7年）に成帝が急死し、哀帝が即位すると、王根を推薦した功績から封邑2000戸を加増され優遇された。しかし、司隷校尉の解光が王根の奢侈や僭上、成帝の死後に宴会を開いたことなどを弾劾したため、王根は封国へ行くこととなった。

建平元年（紀元前6年）、王根は死去。煬侯と諡された。曲陽侯は子の王渉が継いだ。

王莽による顕彰

王莽が新を建国すると、王根がかつて自身を推薦してくれた恩義に報いるため、「曲陽」という封国名を改め、王根の諡を直道譲公と改めた。王渉を直道国の後継者とした。

しかし、王渉は後に王莽に対する反乱を計画するも発覚し、自害した。

参考文献

『漢書』巻18 外戚恩沢侯表
『漢書』巻19下 百官公卿表下
『漢書』巻98 元后伝
『漢書』巻99 王莽伝

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