王立オランダ領東インド陸軍

王立オランダ領東インド陸軍 (KNIL)

王立オランダ領東インド陸軍（KNIL）は、オランダが東インドにおいて植民地支配を行っていた期間に存在した独自の地上軍です。この軍隊は1814年に設立され、1945年までの約131年間にわたって活動しました。主に現在のインドネシアに駐留しており、日本では「蘭印軍」という名称で知られています。

設立と背景

KNILは、1814年10月14日の皇帝勅令により設立されました。当初はオランダ陸軍の一部ではなく、オランダ領東インドの植民地政府が保有する独立した軍隊として機能しました。この軍は、原住民の抵抗勢力との戦争に参加し、パドリ戦争（1821-1845年)、ジャワ戦争（1825-1830年)、アチェ戦争（1873-1904年）など多くの戦闘を経験しました。

19世紀から20世紀初頭にかけて、KNILはその支配地域を拡大し、1904年にはインドネシア全域がオランダ政府の実効支配下に入りました。第一次世界大戦以降は、原住民の大規模な反乱は発生せず、主にオランダ領の防衛に専念していました。この時期、軍の役割は警察的なものであり、1917年からは現地在住のヨーロッパ人男性を対象とした徴兵制が導入されました。1922年には郷土防衛隊も設立され、オランダ軍の兵力を補強しました。

第二次世界大戦とその影響

1940年、オランダ本国がナチスドイツに降伏したことで、KNILは大きな打撃を受けました。その結果、蘭印におけるオランダの軍事力は極度に弱体化しました。軍の改編が急務となり、KNILは近代化に向けた改革を進めましたが、1942年に日本軍の侵攻を受けたことで対抗する力を失い、連合軍と共に撃破されました。多くのヨーロッパ人将兵は捕虜として日本軍に抑留され、命を落とす者も多くいました。原住民の一部は日本軍に抵抗しましたが、連合軍の支援を受けることはできませんでした。

1942年中には、KNILの一部将兵が豪州に脱出し、再編成を試みました。戦後、KNILは蘭印の支配を回復するために1947年と1948年に行われた作戦に投入されましたが、戦争犯罪に関与したとして非難されることもありました。結局、インドネシアの主権が1949年に承認されたことで、KNILは解体され、50年7月26日にその歴史に幕を下ろしました。

人員構成と多様性

KNILは存続期間中、ヨーロッパ人と原住民で構成されていました。設立当初は将兵の割合が1:1でしたが、次第に変化し、最終的には原住民が優勢となりました。19世紀には外国籍の傭兵の採用も行なわれ、特にアチェ戦争では必要な兵力を確保するために黒人奴隷からの募兵も行われました。

1941年の時点で、KNILは34,000名の下士官兵と1,000名の将校から構成されており、その多くが原住民でありました。この時期、ジャワ人とスンダ人が多くを占め、戦争の中で特定の国籍の人々が異なる役割を果たす様子が見られました。

結論

KNILはオランダ領東インドにおける植民地行政の重要な一翼を担ってきましたが、その歴史は複雑であり、さまざまな戦争や社会的影響を受けてきました。この軍隊の伝統は、現代のオランダ陸軍にも引き継がれています。その活動は、オランダの植民地時代の苦悩や人々の抵抗の象徴ともなっています。

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