王立ザクセン邦有鉄道XVIII H型蒸気機関車

王立ザクセン邦有鉄道XVIII H型蒸気機関車

概要

王立ザクセン邦有鉄道XVIII H型蒸気機関車は、ドイツのザクセン地域で運行されていた急行用の蒸気機関車です。デザインはプロイセンの機関車を基にしており、特に過熱式単式3気筒の構造が特徴的です。この機関車は1917年から1918年にかけてケムニッツのザクセン機械製造によって製造され、最終的にドイツ国営鉄道（DB）にて18.0形として認識されました。

歴史

第一次世界大戦後、ドイツ国営鉄道はザクセン邦有鉄道から引き継いだすべてのXVIII H型機関車を受け入れました。1925年の形式整理の際に、これらの機関車は18 001から18 010までの番号が付けられました。その中で、18 002は戦争で失われ、残りの9両はドイツ民主共和国の運用線区に残り、主にドレスデンからライプツィヒやベルリンへと向かう急行列車の牽引に使用されました。1965年から1968年にかけて全機が運用を終了し、その後は解体されてしまいました。

構造

XVIII H型の機関車は、最新の広火室を搭載した過熱式ボイラーを有し、軸配置は2'C1'（パシフィック）となっています。これにより、運行時の安定性とパフォーマンスが向上しています。

ボイラー

ボイラーは3缶胴からなり、円筒形の第1及び第2缶胴が火室と接続し、円錐形に設計された第3缶胴を持っているのが特徴です。蒸気ドームや砂箱はそれぞれ独立したケーシングに収められています。火室の火格子面積は4.52平方メートルで、使用圧力は14気圧です。給水は2つの蒸気インゼクタとクノール給水ポンプを用いて行われ、効率を高めるために予熱が施されます。

台枠

ボイラーは主台枠の上に配置されており、頑丈な棒台枠と製作しやすい板台枠のハイブリッドデザインです。この構造は機関車を軽量化しつつ安定性を保つために重要です。

シリンダー・弁装置

この機関車のシリンダーは3つあり、プロイセン流の単式3気筒が採用されています。これにより、機関車全体の構造が最適化され、効率的な動力伝達が可能になります。また、内側気筒の弁は外側のホイジンガー式弁装置と連動して構成されています。

輪軸

動輪は直径1,905 mmで設計されており、高速運転に適しています。また、先台車と従輪はそれぞれ横動き対応機構を持ち、急曲線通過能力が向上しています。

ブレーキ

機関車にはウェスティングハウス式の自動空気ブレーキが装備されており、全ての車輪に片押しブレーキが作用します。そのため、安全性の高い運行が可能となります。

炭水車

炭水車は、ザクセンの2'2 T31型が構成に用いられ、31立方メートルの水を搭載できる妥当な設計となっています。

運用

XVIII H型は主に勾配が少なく、高速運転が可能な路線に向けて設計されており、ドレスデンを中心としてライプツィヒやベルリンとの間を頻繁に走行しました。戦後も一部がドレスデンのアルトシュタット機関区に配備されていましたが、1968年には全機が運用を終了し、その跡は解体されてしまいました。

このように、王立ザクセン邦有鉄道XVIII H型蒸気機関車は、歴史的意義を持ちつつも保存されることがなかった貴重な機関車の一つといえます。

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