王立天文学会月報

王立天文学会月報について

『王立天文学会月報』は、略称でMNRASと呼ばれる、天文学および天体物理学に特化した学術雑誌です。この雑誌は1827年に創刊され、以来現在に至るまで継続的に最新の研究成果を発表しています。ここの名称には「月報」という言葉が含まれていますが、実際には月刊誌ではなく、年に9巻、計36号を発行する形式になっています。

設立の経緯と歴史

MNRASの初号は1827年2月9日に発行されました。当初の名称は『Monthly Notices of the Astronomical Society of London』でしたが、ロンドン天文学会が王立天文学会に改名された際、第2号からは現在の「王立天文学会月報」に変更されました。1960年までは雑誌内に月報が掲載されていましたが、それ以降は『Quarterly Journal of the Royal Astronomical Society』およびその後継の『アストロノミー＆ジオフィジックス』にてこの役割が引き継がれました。

出版本に関しては、1965年から2012年まではブラックウェルパブリッシング社が王立天文学会の代理として出版を行っており、2013年からはオックスフォード大学出版局が担当しています。これにより、MNRASは質の高い天文研究の場として世界中の科学者に利用されています。

論文の内容と掲載形式

MNRASでは査読された論文が多岐にわたって掲載され、特に天文学と天体物理学の新しい研究を取り上げています。掲載される記事には2種類の形式があり、通常の論文とレター論文（長さが最大5ページ）があります。レター論文は迅速に発表されるため、研究者にとって注目の対象となります。かつて印刷版ではレター論文がピンクのページに印刷されていましたが、現在はオンライン版で全ての内容が公開されています。

編集は王立天文学会によって運営されており、プロの天文学者で構成される編集委員会がその役割を担っています。2019年時点での編集長はダラム大学のDavid Flower氏です。MNRASのインパクトファクターは2012年に5.521、2019年には5.194と高い水準を誇ります。

オープンアクセスと出版方針

MNRASでは、質の高い論文を厳選することに加え、可能な限り無料で論文が読まれることを推奨しています。著者がMNRASで論文を発表する際は、出版料は必要ありません。この費用は雑誌の購読料によって賄われています。

また、オープンアクセスに関しては、著者が選択的に出版費用を支払うことで一般の読者が論文を無料で閲覧できるハイブリッドオープンアクセスの形式も採用しています。さらに、王立天文学会の会員には特典として無料オンラインアクセスの権利が与えられます。論文は出版から36ヶ月経過後、ウェブサイト上で閲覧可能になります。

編集長の歴史

MNRASの歴代の編集長には著名な科学者が名を連ねています。初代編集長はRichard Sheepshanks、以後Robert Grant、アーサー・ケイリー、Richard A. Proctorなど、数世代にわたる天文学者がこの重要な地位に就いてきました。最新の編集長であるDavid Flower氏は、2012年よりその役を担っており、MNRASの質と信頼性をさらに向上させるために尽力しています。

結論

『王立天文学会月報』は、天文学と天体物理学の最前線を支える研究発表の場として、その重要性を無くすことなく現在も続いています。最新の研究を広く発信し、科学者や学生にとって重要な情報源となっています。

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