王義

王義（おう ぎ）

王義は、金朝末期からモンゴル帝国初期にかけて活躍した人物です。真定府寧晋県出身で、代々農家を営む家柄でした。

生涯

1214年、金朝がモンゴルの侵攻を受け、中都（現在の北京）から汴梁へ遷都すると、華北一帯は行政機能が麻痺し、盗賊が横行する混乱状態に陥りました。このような状況下で、寧晋県の人々は、その優れた文武の才能で知られていた王義を指導者として推挙しました。王義は、崩壊した寧晋県の行政機構を代行し、「都統」を自称しました。

同年、金の南遷を理由にモンゴル軍が再び南下を開始すると、王義はムカリ率いる左翼軍団に投降しました。その後、チンギス・カンに謁見した王義は、駿馬2匹を授けられ、寧晋県令の地位を認められました。華北の治安が悪化の一途を辿る中、王義は寧晋の東に位置する「瀝城」という城塞への移住を提案しました。瀝城は防御に適しているだけでなく、付近で魚を獲ることで自活も可能だったからです。この決断により、多くの人々が戦乱から救われました。

1215年、金朝の将軍李伯祥が趙州に入り、モンゴル軍への反攻を開始したため、ムカリは王義に討伐を命じました。王義は大風雨の中、長梯子を携えて趙州を急襲し、夜のうちに四方から城壁を乗り越え、これを陥落させました。李伯祥は逃亡しましたが、王義は趙州の平定に成功し、その功績によりムカリから趙州太守・趙州及び冀州招撫使の地位を授けられました。

1217年、モンゴル軍は南下して鉅鹿・洺州城を攻略した後、帰還しようとしたところ、金の監軍納蘭率いる軍団が北上しているとの情報を得ました。王義は伏兵を配置し、わずか100騎でこれに戦いを挑み、敗走を装って退却したところで伏兵に攻撃させ、大勝利を収めました。1218年には、束鹿県・深州を攻略し、順天都元帥の張柔がその功績を報告したことで、深州節度使・深州・冀州・趙州招撫使に昇格しました。

1221年、武仙は再び配下の武将である盧秀・李伯祥らを派遣し、彼らは趙州に進出して瀝城を奪取しました。これに対し、王義は数百の軍船を率いて河を下り、紀家荘の戦いで敵兵1千余りを討ち取る大勝利を収め、盧秀を捕虜としました。李伯祥は逃亡しましたが、王義の追撃により瀝城が陥落すると西へ逃走しました。王義は趙州から武仙軍を撃退することに成功しました。また、同時期に邢州では「趙大王」と名乗る盗賊が横行し、任県の水塞を拠点としていました。水塞の守りは堅固で、真定の大軍閥である史天沢でさえ攻略に失敗するほどでしたが、王義は1222年に水塞を陥落させ、趙大王の勢力を鎮圧しました。その後も王義は深州・冀州一帯の統治に尽力したため、治安が悪化していた他の華北の州県と比較して、その地域は楽土であると評されました。

王義の活躍は、戦乱の時代に華北の安定をもたらし、多くの人々を救済しました。彼の優れた統治手腕と軍事的な才能は、モンゴル帝国の支配下における華北社会の安定に大きく貢献したと言えるでしょう。

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