王蘊 (東晋)

王蘊（おう うん）

王蘊（330年 - 384年）は、東晋時代の重要な人物であり、孝武帝の皇后である王法慧の父として知られています。彼の生涯は、政治的な手腕と民衆への深い思いやりによって特徴づけられます。

生涯

王蘊は、王濛の子として生まれました。佐著作郎を最初に任じられ、その後、尚書吏部郎へと昇進しました。彼の性格は穏やかで、身分の低い人々を差別しないことで知られていました。ある官職に空きが出ると、多くの人がその地位を求めましたが、王蘊は公平な判断を下し、人々からの信頼を集めました。会稽王司馬昱が政治を補佐するようになると、王蘊は人材を推薦し、その配置が適切であったため、官位を得た人々から恨まれることはありませんでした。

呉興郡太守に任命されると、王蘊はその善政で評判となりました。呉興郡が飢饉に見舞われた際には、朝廷の命令を待たずに自らの判断で官倉を開放し、人々を救済しました。この行動は規則違反とみなされ、一時的に免官の危機に瀕しましたが、呉興郡の官吏や民衆が彼の行為を擁護したため、晋陵郡太守への降格という形で許されました。

375年、娘の王法慧が皇后に立てられると、王蘊は光禄大夫の位を与えられ、五兵尚書・本州大中正を兼任し、建昌県侯に封じられました。しかし、王蘊は外戚としての恩恵を受けることを良しとせず、これらの爵位を固辞しました。その後、都督京口諸軍事・左将軍・徐州刺史・仮節に任じられましたが、これも最初は受けようとしませんでした。謝安の説得により、最終的にこれらの役職を受け入れ、京口に駐屯しました。その後、建康に召還され、尚書左僕射、丹陽尹、散騎常侍といった役職を歴任しました。外戚として朝廷の高い地位にいることを望まず、地方での任務を求めて、都督浙江東五郡・鎮軍将軍・会稽国内史として赴任しました。

王蘊は酒を好み、晩年にはその量が増えましたが、会稽での統治は穏健で簡素なものであったため、民衆に喜ばれました。

384年、王蘊は55歳で亡くなりました。死後、左光禄大夫・開府儀同三司の位が追贈されました。

子女

王華（長男、早世）
王恭
王熙
王履
王爽
王法慧（孝武定皇后）

王蘊の生涯は、晋書に詳細に記録されており、彼の人物像や業績を知ることができます。

人物

王蘊は、その穏やかな性格と公正な判断力で、多くの人々から信頼されていました。彼は外戚としての地位に安住することなく、常に民衆の利益を考え、行動しました。そのため、彼の死後も、その功績は長く語り継がれています。

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