王逸

王逸について

王逸（おう いつ、生没年不詳）は、中国後漢時代の著名な官僚および文人です。彼は特に『楚辞』の注釈書である『楚辞章句』の著者として広く知られています。字は叔師とし、南郡宜城県を本貫としています。彼の業績は後漢文学において重要な位置を占めています。

経歴

王逸の経歴は、後漢の安帝の元初年間に始まります。この時期、彼は上計吏に任命され、次に校書郎として登用されます。彼はこの職務を通じて、『楚辞』の整理を行い、その際に注釈を加えた『楚辞章句』を執筆します。この注釈書は、その後の文学研究において必須の資料となり、多くの人々に広まることとなりました。さらに、彼は『東観漢記』の編纂にも関与し、文献の整理と確認を行いました。

その後、王逸は順帝の時代に侍中に任命され、さらに豫章太守に就任します。彼の職務は非常に多岐にわたり、その間に彼は数多くの文学作品を制作します。特に、賦・誄・書・論および雑文の形で、合計21篇の作品を著作しました。また、123篇の漢詩を残したことでも知られています。彼は『正部論』や『斉典』といった重要な文献を編纂し、後世に影響を与えることとなります。彼の文集も後に編纂され、多くの人に読まれることになりました。

王逸の文体は、当時の詩文に新しい風をもたらしました。彼は明確な論理と豊かな表現を用い、作品ごとにそれぞれ異なるテーマや感情を表現しました。このことは、彼の作品がそれぞれに独立した価値を持つことを意味します。彼の文体や思想は、多くの後の作家や文学者に影響を及ぼしました。

家族

王逸の子である王延寿についても語る必要があります。王延寿は字を文考といい、若い頃に魯国に遊学し、そこで「霊光殿賦」を作成しました。しかし、彼はその後の人生で不幸に見舞われ、二十数歳の若さで溺水の事故により命を落としました。このように、王逸の一家は文学活動に携わりながらも、悲劇的な運命を辿ったことは、その背後にある時代の厳しさを示しています。

参考文献

王逸に関する情報は、主に伝記資料『後漢書』の巻80上において記されています。また、近年の研究では、小南一郎氏が王逸の『楚辞章句』について考察した論文があり、彼の業績を再評価する上で重要な資料となっています。これらの資料を通じて、王逸という人物の文学的背景や彼の時代が持つ特徴を理解することができます。

王逸は後漢文学の発展に大きな寄与をし、その足跡は今日においても多くの人々に影響を与えています。

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