王金平

王金平：台湾政界の重鎮、日台関係の架け橋

王金平（おう きんぺい）は、1941年、日本統治時代の台湾で生まれた政治家です。長年にわたり台湾の政界の中枢を担い、国民党の重鎮としてその名を馳せました。特に、4期にわたって立法院長を務めたことは、その影響力の大きさを示すものです。

王金平氏の経歴は、台湾社会の変遷と深く関わっています。台南一中、台湾師範大学理学院数学科卒業後、実家の食品工場で経験を積みます。1975年、高雄県工業会理事長時代に中国国民党から立法委員選挙に出馬、当選を果たし政界入りしました。

立法院副院長を経て、1999年には立法院長に就任。李登輝元総統に近いとされ、国民党内における「本土派」の代表的な人物としても知られていました。「台湾独立も選択肢の一つ」という発言も注目を集めました。

立法院長としての職務に加え、王金平氏は中華民国義消協会理事長、台湾職業棒球大聯盟会長、台湾がん基金会董事長、財団法人台湾民主基金会董事長、国家生技医療産業策進会会長など、数多くの要職を歴任しました。幅広い分野でリーダーシップを発揮したことが分かります。

2000年の総統選で国民党が敗北した後も、党副主席に就任。2005年には党主席選に立候補しましたが、馬英九氏に敗れました。激しい選挙戦を経て、馬英九氏からの党副主席就任要請や2008年総統選の副総統候補出馬要請を辞退するなど、独自の道を歩みました。

陳水扁総統のスキャンダルに絡む政局の変動の中、王金平氏は副総統の座に就く可能性も噂されました。また、2008年にはヘリテージ財団の招きで訪米、アメリカ当局と台湾向け武器供与問題について協議するなど、国際的な舞台でも活躍しました。

2008年のダライ・ラマ訪台問題では、馬英九総統の決定に異を唱え、再検討を求めるなど、その政治姿勢は一貫して明確でした。2013年には韓国の朴槿恵大統領就任式に馬英九総統の特使として出席するなど、国際外交にも貢献しました。

しかし、2013年には民進党立法委員の会計事件に関与した疑いで国民党から除籍処分を受けました。台北地方裁判所の仮処分申請により処分は保留されましたが、政界における波乱を経験したと言えるでしょう。

2014年の太陽花運動（中台サービス貿易協定に反対する学生による立法院占拠）では、政府の関与を排除し、自らの主導で与野党間の協議を進めるなど、事態の収拾に尽力しました。最終的には、学生側の要求を反映した法案の制定を約束し、学生たちの議場からの撤退を実現させました。

2016年に立法院長を退任した後も、その影響力は衰えず、日台関係強化のため尽力しました。

王金平氏と日本との関係

王金平氏は日本との関係強化にも注力しており、日台関係の深化に大きく貢献しました。1992年には超党派の対日議連を結成。2007年、2008年、2011年と複数回訪日し、日本の要人と会談を重ねました。

2008年の訪日中には、尖閣諸島沖の台湾漁船沈没事件直後にもかかわらず、日本側要人との会談を行い、日台関係の強化を図りました。この行動は、両国間の誤解を解き、信頼関係を構築する上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

2008年には「台日特別パートナーシップ」を提唱するなど、積極的な外交姿勢を示しました。2011年には東日本大震災後の北海道への観光客誘致支援を約束するなど、具体的な行動でも日台友好関係の促進に貢献しました。

2016年には、立法院に設立された台日交流聯誼会の名誉会長に就任。2021年には旭日大綬章を受章し、日本政府からその功績を高く評価されています。

王金平氏は、台湾の政治家として、そして日台関係の友好促進者として、歴史に名を残す人物と言えるでしょう。その政治姿勢や功績は、今後も高く評価されるに違いありません。

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