琺瑯

琺瑯（ホーロー）とは

琺瑯（ホーロー）とは、鉄やアルミニウムなどの金属材料の表面に、シリカ（二酸化ケイ素）を主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けた複合材料です。漢字表記の「琺瑯」は難解なため、「ホーロー」とカタカナで表記されることが多く、英語では「Enamel（エナメル）」と呼ばれます。「琺」は釉薬を、「瑯」は金属や玉が触れ合う音、美しい石を意味します。

琺瑯は、金属材料が持つ機械的耐久性と、ガラス質が持つ化学的耐久性を兼ね備えているのが特徴です。そのため、食器や調理器具などの家庭用品から、屋外広告看板、道路標識、鉄道設備用品、ホワイトボード、化学反応容器、時計文字盤など、幅広い用途で利用されています。また、工芸品としての琺瑯は七宝と呼ばれ、主に銅、銀、金などの金属が素地として用いられます。

歴史

琺瑯の歴史は非常に古く、紀元前1425年頃に製作されたと推測される、世界最古の琺瑯製品と思われる加工品がミコノス島で発見されています。また、ツタンカーメンの黄金のマスクにも琺瑯加工が施されており、古代から装飾品や工芸品に活用されていたことがわかります。

琺瑯の特徴

利点

衛生的: 表面が滑らかで雑菌が繁殖しにくく、汚れも落としやすい。また、化学変化を起こしにくいため、食材の味や風味を変化させにくい。
耐食性: 酸や塩分に強く、においの強い食材を入れても、においが移りにくい。
熱伝導性: 中身が金属のため熱伝導率が良く、均一に加熱できる。また、放熱性にも優れている。
耐久性: 熱に強く、直火やオーブンでの使用が可能。耐久性に優れており、環境ホルモンなどもほとんど出さない。

欠点

錆び: 製造時に釉薬が掛かり切らなかった部分や、使い込んで釉薬が欠けた部分が、水分や塩分に長期間晒されると、錆が生じる場合がある。
電子レンジ: 一般的な琺瑯製品は、中身が金属であるため、電子レンジでの使用はできない。
衝撃: 陶磁器ほどではないが、衝撃に弱く、取り扱いに注意が必要。
急な温度変化: 熱には強いが、急な温度変化には陶磁器同様に注意が必要。

その他

七宝: 琺瑯は、工芸品の分野では七宝と呼ばれます。七宝は、金属の素地にガラス質の釉薬を焼き付けた装飾技法であり、美しい色彩と光沢が特徴です。
ル・クルーゼ: 琺瑯製の調理器具として有名なブランドです。カラフルでデザイン性の高い製品が人気です。
エナメル: 琺瑯は英語でエナメルと呼ばれます。エナメルは、塗料や装飾品など、様々な分野で使われる言葉です。
ホーロー[[看板]]: 琺瑯の看板は、耐久性が高く、色褪せしにくいことから、昔から屋外広告によく使われていました。
ほうろう加工技能士: 琺瑯の加工に関する技能を認定する資格です。

関連情報

日本琺瑯工業会 ( JEA: Japan Enamel Association ): 日本の琺瑯製品に関する情報を発信している団体です。

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