瑞江葬儀所

瑞江葬儀所：東京都公営火葬場の歴史と役割

瑞江葬儀所は、東京都江戸川区春江町に位置する、東京都が運営する公営の火葬場です。1938年2月1日の供用開始以来、東京都民の弔いの場として、長きにわたり重要な役割を担ってきました。通称「瑞江斎場」として親しまれており、式場を備えず火葬設備のみを有する施設です。

歴史と変遷

瑞江葬儀所の歴史は古く、1935年4月16日に都市計画決定と事業認可を受けた後、1938年に都区内唯一の公営火葬場として開設されました。開設当初から、近代的な火葬施設のモデルとして、理想的な運営を目指してきたことが知られています。

その後、1973年には施設の老朽化に伴い全面改築工事が行われ、1975年には新施設が稼働開始しました。改築では、従来の火葬場のイメージを刷新すべく、煙突の撤去による無公害化、燃料のガス化、控室の個室化などが実施されました。また、火葬受付件数も明確に設定されるようになりました。

運営面では、1985年に財団法人東京都公園協会に管理運営が委託され、2006年には同協会が指定管理者として選定されました。現在も、東京都公園協会が管理運営を行っています。

運用と施設概要

瑞江葬儀所の火葬受付時間は、午前10時から午後2時まで、1時間毎に受け付けます。1日の火葬受付件数は25件に制限されています。これは、施設の構造や、葬儀の円滑な進行を考慮した運用によるものです。

施設は、火葬炉棟、お別れホール棟、管理棟の3棟で構成されています。火葬炉棟には、20基の空冷ロストル式火葬炉（燃料：都市ガス）と3室の収骨室があります。お別れホール棟には、故人とのお別れをするためのホール、霊柩車着棺口が設けられています。管理棟には、事務室、待合ロビー、控室10室、売店などが備えられています。また、75台収容可能な駐車場や運転手控室も完備しています。敷地面積は37,572㎡、建築面積は4,325㎡です。

火葬の流れ

瑞江葬儀所での火葬の流れは、以下のとおりです。

1. 故人とのお別れ: 会葬者は「お別れホール」で焼香や献花を行い、故人とのお別れをします。代表者以外の会葬者は、ここで故人とのお別れとなります。
2. 炉前への立会い: 代表者数名（5名程度）が炉前ホールに進んで、納棺の確認をします。炉前ホールの狭さや、混雑緩和のため、立会人数を制限しています。
3. 火葬: 火葬が終了すると、案内放送で会葬者に知らされます。
4. 収骨: 代表者数名が炉前ホールで遺骨の確認をした後、収骨室で収骨（お骨あげ）を行います。

東日本大震災における支援

2011年の東日本大震災では、東京都は被災地からの要望を受け、現地で火葬できなかった約500体の遺体の火葬を瑞江葬儀所で支援しました。この際、宗教者による火葬時の読経や敷地内への立ち入りについては、東京都と宗教団体との間で様々な議論がありました。最終的には、敷地内の一部において、宗教団体による慰霊行事が行われることになりました。

アクセス

最寄駅は、都営新宿線瑞江駅です。

まとめ

瑞江葬儀所は、東京都民にとって重要な役割を担う公営火葬場です。長い歴史の中で培われた経験と、近代的な設備を備え、故人の最期を弔う場として、これからもその役割を果たしていくことでしょう。 また、東日本大震災での対応は、災害時における公営施設の役割についても示唆に富む事例となっています。

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