環状線 (モスクワ地下鉄)

モスクワ地下鉄環状線（5号線）

モスクワ地下鉄環状線は、モスクワ市内を環状に結ぶ重要な路線で、モスクワ地下鉄5号線とも呼ばれています。全長19.4km、全12駅で構成され、通勤・通学客にとって不可欠な移動手段となっています。路線名の通り環状の形状をしていますが、当初から環状線として計画されたわけではありませんでした。

歴史

モスクワ地下鉄の初期計画では、都心部を貫く放射状路線を複数建設し、それらを都心部の駅で接続する予定でした。しかし、1938年に開通したザモスクヴォレーツカヤ線（2号線）とアルバーツコ＝ポクローフスカヤ線（3号線）の利用者が増加し、都心部の乗り換え駅に負荷が集中しました。この問題を解決するため、都心部を囲むようにサドーヴォエ環状道路に沿って環状線を建設する案が浮上しました。

最終的に、環状線はサドーヴォエ環状道路に沿いつつも、主要な鉄道駅（レニングラーツキー駅、ヤロスラフスキー駅、カザンスキー駅、ベラルースキー駅、キエフスキー駅）を結ぶように建設されることになりました。これにより、鉄道駅間の移動が地下鉄経由でスムーズになり、人と物の輸送が大幅に改善されました。

環状線の建設は第二次世界大戦後すぐに始まり、1950年にパールク・クリトゥールイ駅 - クールスカヤ駅間が開通しました。1952年にはクールスカヤ駅からベラルースカヤ駅まで延伸し、1954年にベラルースカヤ駅からパールク・クリトゥールイ駅までが繋がり、環状線として全線が開通しました。この開通により、モスクワの乗客の流れは大きく変わり、プラットフォームは将来の路線接続を考慮した構造となっています。現在、9つの地下鉄路線と接続しています。

開通区間と開通日

1950年: パールク・クリトゥールイ駅 - クールスカヤ駅間
1952年: クールスカヤ駅 - ベラルースカヤ駅間
1954年: ベラルースカヤ駅 - パールク・クリトゥールイ駅間（環状線全線開通）

駅名の変更

環状線には、過去に駅名が変更された例はありません。

乗り換え

環状線の最大の特徴は、全12駅が他のモスクワ地下鉄路線と接続している点です。そのため、全ての駅が乗り換え駅として機能しています。

近年の拡張と今後の計画

環状線はモスクワで最も利用客の多い路線であり、その数は増加し続けています。そのため、ラッシュ時には多くの人々が古い駅に集中するという課題が生じています。

1998年にはベラルースカヤ駅に2つ目の出入口が建設されました。同様の拡張はパールク・クリトゥールイ駅やコムソモーリスカヤ駅でも計画されています。また、老朽化した路線の修復も進められており、ノヴォスロボーツカヤ駅では照明の交換やステンドグラスの修復が行われました。タガンスカヤ駅とドブルイニンスカヤ駅では、エスカレーターの更新や自動改札機の改良、外観の改修工事が実施されました。

新たな駅の建設計画も存在します。プロスペクト・ミーラ駅とノヴォスロボーツカヤ駅の間には「スヴォロフスカヤ駅」が計画されていますが、財政上の理由で凍結されています。また、クラスノプレスネンスカヤ駅とキエフスカヤ駅の間には「ロシイスカヤ駅」が計画されており、カリーニンスコ＝ソンツェフスカヤ線を西に延伸させて接続する予定です。

2017年には、ミチュリンスキー・プロスペクト駅、プロスペクト・ヴェルナツキー駅など3駅の建設を中国の中国鉄建が受注し、ロシア初の海外企業による地下鉄工事となりました。

その他

環状線の駅舎は、スターリン様式が色濃く残る豪華な内装で知られており、観光客にも人気があります。特に、コムソモーリスカヤ駅やノヴォスロボーツカヤ駅などは、その美しい装飾が有名です。

関連項目

モスクワ地下鉄
環状運転
モスクワ中央環状線

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