環状運転

環状運転とは

環状運転とは、公共交通機関、主に鉄道やバスにおいて、おおよそ円形または楕円形の経路を一周する運行形態を指します。バスでは「循環運転」とも呼ばれることがあります。この運転方式は、都市部における効率的な輸送を目的として採用されることが多く、特定の地域を循環することで、利用者にとって利便性の高い移動手段を提供します。

環状運転の方向

複線の環状線では、運転方向を「右回り・左回り（時計回り・反時計回り）」または「外回り・内回り」と表現します。これらの対応は、その路線における列車の通行方式に依存します。日本では左側通行が一般的であるため、外回りが右回りに、内回りが左回りに相当します。しかし、右側通行の国ではこの関係が逆転します。

鉄道における環状運転の例

日本国内

日本国内では、以下のような路線で環状運転が行われています。

完全環状型: 1本の環状線のみで構成される路線。
ラケット型: 「枝線部分 - 環状線部分 - 枝線部分」の形を持つ路線。
6の字型: 「枝線部分 - 環状線部分」の形を持つ路線で、枝線部分を運行後、環状線を1周して運行を終了する路線。

かつては、大阪市電、京都市電、名古屋市電、横浜市電、仙台市電、函館市電、西鉄福岡市内線などの路面電車でも環状運転が行われていました。これらの路線は一度廃止されたものの、札幌市電や富山地方鉄道富山市内線のように、再設置により完全環状型の環状運転を復活させた例もあります。トロリーバスでは、横浜市営トロリーバスが完全環状線、川崎市営トロリーバスがラケット型の環状線で運行されていました。

日本国外

世界各地でも様々な環状運転の例があります。

シカゴ・L: オレンジライン、パープルライン、ブラウンラインがループを経由。
モスクワ地下鉄: 環状線、中央環状線。
ロンドン地下鉄: サークル線。
グラスゴー地下鉄
ソウル交通公社: 2号線、6号線。
軽鉄 (香港): 705線、706線。
北京地下鉄: 2号線、10号線。
上海地下鉄: 4号線。
広州地下鉄: 11号線。
西安地下鉄: 8号線。
成都軌道交通: 7号線。
鄭州地下鉄: 5号線。
重慶軌道交通: 環状線。
台湾鉄路管理局: 環島之星。
マドリード地下鉄: 6号線。
バンクーバー・スカイトレイン: ミレニアムライン。
ベルリンSバーン: 環状線（リングバーン）。
シドニー・シティレール
メルボルン・メトロ
KAIコミューター: チカラン環状線。

これらの例からも、環状運転が世界的に多くの都市で採用されていることがわかります。

環状運転の利点

環状運転は、特定の地域内での移動を効率化するだけでなく、以下のような利点があります。

乗り換えの簡略化: 一度路線に乗れば、環状線を一周することで、出発地点近くまで戻ってくることができるため、複雑な乗り換えが不要になります。
都市構造への適合: 環状線は、都市の中心部や特定のエリアを囲むように配置されることが多く、都市の構造に合わせた効率的な輸送を可能にします。
観光利用: 環状線を利用することで、特定のエリアの観光名所を効率よく巡ることができ、観光客にとっても便利な移動手段となります。

関連用語

循環列車: 環状運転を行う列車。
放射線・環状線: 放射線状に延びる路線と、それらを結ぶ環状線を組み合わせた都市鉄道網の形態。

まとめ

環状運転は、都市交通における重要な運行形態の一つであり、その効率性と利便性から世界中の多くの都市で採用されています。この記事を通して、環状運転についての理解を深めていただければ幸いです。

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