甄萱

甄萱について

甄萱（けん けん、朝鮮語：견훤）は、後三国時代の重要な政治家の一人であり、後百済の初代の王としてその名を残しています。彼の生涯は、政治的な混乱と戦争が繰り広げられた時代における戦略的な動きに満ちており、特に南海での防衛戦において顕著な功績を残しました。

生い立ちと初期の功績

甄萱は黄澗甄氏の祖先であり、阿慈介の息子として尚州加恩県に生まれました。彼は軍人として新羅に仕官し、南海の防衛において戦形を整え、多くの敵に対して勝利を収めました。

892年（真聖女王6年）、国内が混乱する中、甄萱は叛乱を起こし、多くの城を攻略しました。この時に彼の軍事的才能が発揮され、新羅の裨将に昇進した後、武珍州（現在の光州）を占領し、自身の支配基盤を築くことに成功しました。

百済王としての業績

900年（孝恭王4年）、甄萱は完山州に入城し、自らを百済王と名乗るようになりました。彼は官制を整備し、漢唐と国交を結ぶために使者を派遣し、外交政策にも力を注ぎました。特に、強力な敵である弓裔の泰封に対抗し、その影響力を拡大していきました。

高麗への対抗と内乱

やがて、王建により創立された高麗との軍事的な対立が続きました。甄萱はこの高麗と何度か戦い、これに対して軍事的優位を維持しましたが、927年には新羅の都、慶州を陥落させ、親高麗政策をとった景哀王を殺害しました。この行動は新羅の人々からの激しい反発を招きました。

力の低下と最期

929年には高敞で王建の軍に敗れ、勢力の衰退が始まります。彼の部下たちは次第に王建に投降し、934年には熊津（公州）以北の30城が高麗の手に落ちました。続く年、王位継承の問題から長男の甄神剣に金山寺に流されるものの、甄萱は脱出に成功し、その後王建に投降しました。王建からは尚父の称号と食邑として楊州が与えられました。

936年、甄萱は王建に神剣を討伐することを要請し、その後百済を滅ぼすことに貢献しましたが、彼の死は黄山寺で凍傷によるものでした。彼の生涯は、混乱と争いが絶えなかった時代を象徴するものであり、その業績は後世に大きな影響を与えました。

参考

• - 「アジア人物史 3」 集英社 2023年

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