甚目寺

鳳凰山 甚目寺

甚目寺（じもくじ）は、愛知県あま市に位置する真言宗智山派の寺院です。鳳凰山と号し、「甚目寺観音」の名で広く知られています。本尊は聖観音で、秘仏として本堂に安置される十一面観音像の胎内仏です。東海三十六不動尊霊場第五番札所、尾張三十三観音第十六番札所、尾張四観音の一つとして、多くの人々に信仰されています。

歴史

甚目寺の創建は、伝承によれば推古天皇5年（597年）に遡ります。伊勢国の海人豪族である甚目龍麿が、漁の際に海中から引き上げた観音像を安置したのが始まりとされています。この観音像は、敏達天皇14年（585年）に物部守屋らによって海に投げられた三体の仏像のうち一体であると伝えられています。

天智天皇の病気平癒祈願を行ったことから勅願寺となり、鎌倉時代には多数の僧侶が在籍し隆盛を極めました。戦国時代には織田信長や徳川家康の保護を受け、豊臣秀吉や徳川義直からの寄進もありました。

境内

境内には、重要文化財である南大門（仁王門）、三重塔、東門をはじめ、本堂、釈迦堂、六角堂、十王堂、不動堂、秋葉堂、弘法堂、明王堂など、多くの堂宇が立ち並びます。また、鎮守として漆部神社が隣接しています。

南大門（仁王門）：源頼朝の命により再建されたもので、仁王像は福島正則の寄進によるものです。
三重塔：吉田半十郎の寄進により再建されました。
東門：寛永年間に再建されたものです。

文化財

甚目寺は、数多くの文化財を所蔵しています。中でも、以下のものは重要文化財に指定されています。

南大門
三重塔
東門
絹本著色不動尊像：平安時代の仏教絵画で、県内最古のものです。
絹本著色仏涅槃図：鎌倉時代の作品です。
木造愛染明王坐像：解体修理時に胎内から愛染明王像が発見されました。

その他、愛知県指定有形文化財として木造金剛力士（仁王）像、梵鐘、瑞花双鸞八稜鏡などがあります。

行事

甚目寺では、年間を通じて様々な行事が行われます。

正月初祈祷会
節分会
桃十日祭
甚目寺観音てづくり朝市（毎月12日）

所在地・交通

所在地：愛知県あま市甚目寺東門前24番地
* 交通アクセス：名鉄津島線 甚目寺駅下車、徒歩約5分。名古屋第二環状自動車道 甚目寺北ICまたは甚目寺南ICから車で約5分。

その他

一遍上人がこの地を訪れた際に念仏踊りが行われたことや、福島正則が幼少期に手習いに通った寺であることなど、様々な歴史的エピソードが残されています。

甚目寺は、その長い歴史と豊かな文化財、そして地域の人々の信仰を集める寺院として、今もなおその姿を伝えています。

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