生員

生員（せいいん）とは

生員（満洲語：ᡧᡠᠰᠠᡳ, šusai）とは、中国の明朝および清朝時代に存在した、国子監の入試（院試）に合格した者を指す言葉です。彼らは、科挙制度における郷試の受験資格を得ることができました。生員は、府学や県学といった教育機関に配属され、その身分は「秀才」と美称されることもありました。この「秀才」という言葉は、彼らが実質的に士大夫（官僚や知識人層）の仲間入りを果たしたことを意味し、社会的に高い地位と尊敬を集めました。

生員の特権

生員となることは、単に試験に合格したというだけでなく、様々な特権を享受できる身分を得ることを意味しました。その最も重要な特権の一つが、徭役の免除です。徭役とは、一般の民衆に課せられる労働や賦役のことで、生員はこの義務から解放されました。これにより、彼らは経済的にも時間的にも余裕を持つことができ、さらなる学問やキャリアの追求に専念することが可能になったのです。また、生員は地域社会においても一定の影響力を持つことができ、社会的に重要な役割を担いました。

科挙制度における生員の位置づけ

科挙制度は、中国の官僚制度の中核をなす試験制度であり、官僚登用への重要な道でした。生員は、この科挙制度の中で、郷試の受験資格を得るという重要な位置を占めていました。科挙は、童試、郷試、会試、殿試という複数の試験から構成されており、生員は、最初のステップである童試を突破した後、院試に合格した者のみが得られる資格でした。すなわち、生員は、科挙という官僚への道を歩むための最初の関門を突破した者たちであったと言えるでしょう。

諸生との違い

生員と混同されがちなのが、諸生（しょせい）です。諸生もまた、童試の一部である県試と府試に合格した者を指しますが、院試には合格していないため、科挙の受験資格は得られません。つまり、諸生は生員となるための準備段階にいる者たちであり、両者の間には明確な違いが存在します。科挙という官僚への道を進むためには、この院試に合格し、生員となる必要がありました。

人数と競争

郷試の合格者は毎回400人程度に限られていましたが、一方で、諸生は全国で約50万人も存在したとされています。この数字からも、科挙の競争率が非常に高かったことが伺えます。生員となることは、その競争を勝ち抜くための第一歩であり、非常に狭き門であったと言えるでしょう。

まとめ

生員は、明清時代の中国において、科挙制度を介して官僚を目指すための重要な身分であり、その特権と地位は社会的に大きな意味を持っていました。彼らは、単なる学生ではなく、社会のエリート層の一員として、その後の中国社会において重要な役割を担うこととなりました。科挙制度は、このようなエリート層を育成するシステムとして、中国の歴史において非常に重要な役割を果たしました。一方、諸生は生員を目指す者たちであり、両者は明確に区別されました。

関連事項

* 科挙

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