生振

生振（おやふる）

生振は、北海道石狩市にある地名です。

地名の由来

地名の由来はアイヌ語にあり、「オヤフㇽ（o-ya-hur）」（尻が・陸地〈についている〉・丘）が原義であるという説が有力です。かつて石狩川が蛇行し、現在の茨戸川が本流だった頃、生振は袋状の土地として存在していました。この地形的特徴が地名の由来になったと考えられています。

地理

生振は石狩川と茨戸川によって四方を囲まれています。花畔大橋、茨戸大橋、生振大橋の3つの橋が、それぞれ石狩市新港南、石狩市花川東、札幌市篠路町拓北方面へと繋がっています。

石狩川の本流が茨戸川だった時代、生振は河道が大きく蛇行する場所に位置していたため、雪解けや豪雨のたびに氾濫に悩まされていました。そこで、河道を直線的に変更する捷水路工事が行われ、石狩川の治水工事が完了したことで、水害の頻発から解放されました。

歴史

和人が入植する以前は、石狩アイヌの人々がこの地に暮らしていました。石狩アイヌのエカシ（長老）である豊川アンノランもその一人です。

1871年（明治4年）5月、旧米沢藩士の玉木琢蔵に率いられた宮城県と山形県の移民29戸が入植しました。彼らは「玉木団体」と呼ばれ、アンノランの協力を得ながら開拓に着手しました。開拓使の判官、岩村通俊が生振村と命名しました。

1894年（明治27年）4月15日には、愛知県からの団体56戸が入植しました。

1902年（明治35年）4月1日、二級町村制の施行により、生振村は周辺の町と合併し、石狩町の一部となりました。

1918年（大正7年）には、石狩川初のショートカット工事として、生振新水路の掘削が開始されました。工事の進捗に伴い労働者が流入し、彼らを対象とした商店が増え、「生振治水市街地」が形成されました。1931年（昭和6年）5月に生振新水路が完成。その後も堤防工事が続けられましたが、1939年（昭和14年）にすべての工程が完了すると人々は去り、市街地は消滅しました。

1950年代から1960年代（昭和30年代から40年代）にかけての生振は稲作が盛んで、農繁期には東北地方からの援農を多く受け入れていました。しかし、1970年（昭和45年）に米の生産調整が始まるとともに、農作業の機械化による省力化が進み、東北からの出稼ぎ労働者に頼ることはなくなりました。

施設

石狩市立生振小学校
開村記念公園「創生園」
生振神社
日正寺 生振分院
生振勢至観音
ばらと霊園
茨戸油田（廃止）

参考文献

編：鈴木トミエ『石狩百話 風が鳴る 河は流れる』共同出版社、1996年9月1日。ISBN 4-87739-009-X。
『石狩の碑 第三輯』石狩市郷土研究会〈いしかり郷土シリーズ〉、2006年2月28日。
山田秀三『北海道の地名』（2版）草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究　山田秀三著作集　別巻〉、2018年11月30日。ISBN 978-4-88323-114-0。

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