茨戸油田

茨戸油田：幻の油田の記憶

茨戸油田は、かつて北海道札幌市北区の茨戸地区と、茨戸川を挟んだ対岸の石狩市生振地区に位置していました。かつて存在した油田について解説します。

開発の経緯

1955年（昭和30年）に石油資源開発株式会社が設立され、翌1956年（昭和31年）に茨戸地区で油層とガス層が確認されたことが、茨戸油田開発の始まりでした。1958年（昭和33年）には、深度400mの地点で有望な油層が発見され、本格的な油田開発がスタートしました。

茨戸側で18坑、生振側で13坑、合計31坑の油井が掘削され、そのうち24坑が採油に成功し、生産井となりました。当初、石油はタンクローリーで運搬されていましたが、後に生振の集油所から国鉄（現JR）篠路駅までの4.4kmに、太さ4インチのパイプラインが敷設され、室蘭へと輸送・精製されました。また、ガスは北海道ガス株式会社に販売され、茨戸から札幌市街地までの16kmに、3インチ×2インチのパイプラインが敷設され、供給されました。

閉山とその後

1961年（昭和36年）には、原油生産量が15,000キロリットル、ガス生産量が140万7,000立方メートルに達し、最盛期を迎えました。しかし、1970年（昭和45年）にガスの生産が中止され、翌1971年（昭和46年）には石油の生産も中止され、茨戸油田は閉山しました。

閉山後、油田の遺構はほとんど残っておらず、跡地は畑となっています。しかし、畑の中には小さな林が点在しており、これは油の湧出量が多く、耕作に適さない土地があったことを示唆しています。

参考文献

編：鈴木トミエ『石狩百話 風が鳴る 河は流れる』共同出版社、1996年9月1日。ISBN 4-87739-009-X。
山田航 (2020年10月2日). “新世代歌人 山田航のモノローグ紀行 茨戸油田跡地を求めて”. 北海道新聞

外部リンク

石油資源開発株式会社（JAPEX）
噴き出した太古の恵み-茨戸油田 札幌市北区役所

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