生活 (漫画)

漫画『生活』について

『生活』は、福満しげゆきによる日本の漫画作品で、作者初の長編ストーリー漫画です。『僕の小規模な失敗』の連載終了後、『アックス』（青林工藝舎）にて2005年から2007年にかけて連載されましたが、諸事情により一時休載。2008年に第1巻が発売されたものの、未完のまま「傑作」とされていました。その後、2009年に『モーニング』（講談社）公式サイトでのWeb配信で連載が再開され、2010年に『生活 完全版』として単行本が刊行され、完結を迎えました。

あらすじ

物語は、コンビニで働くフリーターの青年が、電車内で迷惑な客から携帯電話を奪い、ゴミ箱に捨てる少年を目撃するところから始まります。青年は少年の後を追い、彼が下着泥棒をしようとしている現場を目撃します。そこで青年は、少年の行動力を悪人を成敗することに使うことを提案。二人は、猥褻事件を起こした教師を襲撃し、歩道橋に吊るすという過激な行動に出ます。

この行動がきっかけとなり、二人は悪人を成敗する活動を開始。途中で出会った女子高生や、マナーの悪い若者を金槌で殴っていたオジさんを仲間に加え、自警団として活動を拡大していきます。しかし、元ホームレスの「社長」が加わったことで、組織は示談金をゆする警備会社へと変貌。腐敗していく会社に疑問を抱いた青年と少年は会社を辞め、かつての仲間たちと敵対することになります。逃亡と戦いの末、二人は勝利を収め、会社は潰れ、日常が戻ってくるという結末を迎えます。

主な登場人物

オレ：フリーターの青年。悪人退治を始めるが、正義感はそれほど強くなく、現実逃避のためだと自覚している。作家志望だがスランプに陥っている。最終回では、駆け出しのライターとして活動している。
僕：ニット帽を被った少年。元下着泥棒。正義感が強く、犯罪者やモテる男に嫉妬心を抱いている。工業高校卒で、自作のワイヤーを使った武器や高い身体能力で戦う。
リーダー：眼鏡の女子高生。青年と少年が最初に吊るした教師の情報を教えた人物。情報収集能力が高く、自警団の活動をサポート。会社では事務員として働く。最終回で自警団の復活を提案する。
オジさん：定年間近の男性。娘を守るため「殴り魔」として活動していた。組織では事務を担当していたが、腐敗した組織に失望し、構成員を殴りつけたため報復を受ける。
社長：元ホームレスの男。自警団を金儲けの手段として警備会社へと変貌させた。青年たちと敵対する。

書誌情報

生活 第1巻（青林工藝舎 2008年1月）ISBN 978-4-88379-256-6
生活 完全版（講談社 2010年5月）ISBN 978-4-06-375924-2
生活 特装完全版（講談社 2010年5月）ISBN 978-4-06-358315-1

映画『ヒーローマニア-生活-』

2016年5月7日には、『生活』を原作とした実写映画『ヒーローマニア-生活-』が公開されました。監督は豊島圭介、主演は東出昌大です。

映画では、物語の舞台となる架空の地方都市「堂堂市」が、静岡県浜松市をモデルに描かれています。堂堂市は、「東京から新幹線で約2時間の所にあり、人口30万人ほどの街」という設定で、平和な街ですが、夜になると商店街は素行不良の若者やマナーの悪い大人たちで溢れているという特徴があります。

キャスト

中津秀利（原作の「オレ」）：東出昌大
土志田誠（原作の「僕」）：窪田正孝
寺沢カオリ（原作の「リーダー」）：小松菜奈
日下孝蔵（原作の「オジさん」）：片岡鶴太郎
宇野正（原作の「社長」）：船越英一郎
オカッパおばさん：山崎静代（南海キャンディーズ）
日下響子：松岡恵望子

スタッフ

原作：福満しげゆき『生活【完全版】』（モーニングCKDX / 講談社刊）
監督：豊島圭介
脚本：継田淳
音楽：グランドファンク
主題歌：NICO Touches the Walls「ストラト」（Ki/oon Music）

受賞

第8回TAMA映画賞：最優秀新進女優賞（小松菜奈）
第90回キネマ旬報ベスト・テン：新人女優賞（小松菜奈）

関連情報

* 映画『ヒーローマニア-生活-』公式サイト'>映画『ヒーローマニア-生活-』公式サイト

『生活』は、現代社会の歪みや人間の心理を鋭く描き出した作品として、多くの読者から支持されています。また、映画化によって、さらに多くの人に知られることになりました。

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