生神女就寝ポチャイフ大修道院

生神女就寝ポチャイフ大修道院

生神女就寝ポチャイフ大修道院（ウクライナ語: Свято-Успенська Почаївська Лавра）は、ウクライナのテルノーピリ州ポチャイフに位置する重要な修道院です。これはモスクワ総主教庁系のウクライナ正教会に属しており、その規模はキエフ・ペチェールシク大修道院に次ぐものとして知られています。

この修道院には1240年に設立されたという伝説が伝わっています。これは、タタールの侵攻を逃れた修道士が、キエフ・ペチェールシク大修道院からやってきた結果と言われています。なお、文献に記されたのは1527年が初めてで、この年に修道院の存在が確認されています。1833年には、ロシア正教会によってラヴラという格付けがなされ、修道院の地位が認められることとなりました。

20世紀に入ると、歴史は次第に厳しい局面を迎えました。1921年のポーランド・ソビエト・リガ平和条約により、ポチャイフ地域がポーランドの領土に変わり、修道院はポーランド正教会の下に組み込まれました。しかし、カトリック国であるポーランドでは正教の信仰を守ることが難しくなり、修道院は正教信仰の中心地としての役割を果たすことになりました。

第二次世界大戦後、地域がウクライナ・ソビエト社会主義共和国領に変わると、修道院はソビエト政府による厳しい宗教弾圧の波に直面しました。1939年には200人いた修道士の数が、1959年には74人に、さらには1970年には12人にまで減少しました。この時期、修道院内には無神論を広める博物館が設置され、修道院の閉鎖が試みられたこともありましたが、地元のウクライナ人や国際社会の強い反発により、目論見は失敗に終わりました。そのため、修道院は辛うじて存続を果たしました。

ソビエト連邦の崩壊後、修道院の復興が進むにつれ、かつての宗教的な重要性が再評価されていきました。2020年10月1日には、ポチャイフ市議会社会福祉センターが設立され、地域社会における修道院の役割が新たに強調されています。

このように、生神女就寝ポチャイフ大修道院は、歴史の紆余曲折を経ながらも、ウクライナ正教会の中で特異な地位を保ち続けてきた施設です。修道院は単なる宗教的な施設であるだけでなく、ウクライナの文化・歴史の一部としても大きな意義を持ち、多くの信者や訪問者を迎えています。

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