ラヴラ

ラヴラ（ギリシア語: Λαύρα, ロシア語・ウクライナ語: Ла́вра, 英語: Lavra, Laura）は、正教会およびその他の東方教会において見られる独特な修道形態、そしてそれを行う共同体を指します。

ラヴラの語源と歴史

ラヴラの語源は古代ギリシア語の「Λαύρα（ラウラ）」に由来し、これは「細い通路」や「狭い小道」を意味していました。この言葉は、ユダヤ砂漠で隠遁生活を送る修道士たちの生活様式を指すようになり、彼らは隔絶した洞窟や小部屋に住み、週のほとんどを独りで過ごしました。週末になると、共同の食事のために集まり、その後またそれぞれの隠遁生活に戻るという生活を送っていました。この期間、修道士たちは手工芸品の制作を行い、週末には完成品を共有し、新たな材料を得ていました。当時のラウラは、共同体というよりもコミュニティに近いものでした。

修道形態としてのラヴラ

ラヴラの修道形態は、完全に個人で行う隠遁修道と、修道院で集団生活を送る共住修道の間に位置づけられます。ラヴラには修道院長が存在しますが、普段は個々人がそれぞれの場所で生活をし、主日などの特別な日には礼拝のために集まります。これは、個人の霊的な成長と共同体としての絆の両方を重視する形態と言えるでしょう。このラヴラ制は、5世紀に聖大エウシミオスによってパレスティナで始まったとされています。

ラヴラという称号

原義から転じて、ラヴラはロシア正教会やウクライナ正教会においては、大規模で格式の高い修道院に与えられる称号として使われるようになりました。また、アトス山のメギスティス・ラヴラ修道院のように、固有名詞の一部となることもあります。アトス山では、当初は独住の修道形式が取られていましたが、徐々に共住修道の修道院形式へと変化していきました。

ラヴラの名を持つ主な修道院

以下は、ラヴラの名称を持つ主な修道院の一覧です。

正教会

ウクライナ正教会

キエフ・ペチェールシク大修道院 (1598年創建)
生神女就寝ポチャイフ大修道院 (1833年創建)
生神女就寝スヴャトヒルシク大修道院 (2004年創建)

ギリシャ系（コンスタンディヌーポリ総主教庁、ギリシャ正教会など）

マル・サバ（聖サバス）修道院 (483年創建)
メギスティス・ラヴラ修道院 (10世紀創建)
聖ラヴラ修道院 (10世紀創建)

ロシア正教会

至聖三者聖セルギイ大修道院 (1345年創建、1744年にラヴラの格式が与えられた)
アレクサンドル・ネフスキー大修道院 (1797年創建)

東方典礼カトリック教会

ウクライナ東方カトリック教会

* 聖母被昇天ウニフ大修道院 (1898年創建)


これらの修道院は、ラヴラの伝統を現代に伝える重要な存在です。

まとめ

ラヴラは、個人の霊的な探求と共同体としてのつながりを両立させる、独特な修道形態です。その歴史と伝統は、東方教会の修道生活において重要な役割を果たしています。ラヴラの修道院は、今日でも多くの信徒にとって信仰の拠り所となっています。

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