産山村

産山村：阿蘇くじゅう国立公園に抱かれた静かな村

熊本県阿蘇郡に位置する産山村は、阿蘇山外輪山と大分県の九重連山に囲まれた、自然豊かな村です。その面積は60.81平方キロメートル。北西には南小国町、南西には阿蘇市、東部では大分県竹田市と接しています。村名は、阿蘇地域の古代神話で重要な役割を担ったとされる健磐龍命の嫡孫が生まれた地であるという伝説に由来しています。

自然と歴史が織りなす風景

産山村は阿蘇くじゅう国立公園に含まれており、雄大な自然に恵まれています。大野川水系の大蘇川が村内を流れ、大蘇ダムが造られています。周囲の山々には豊かな植生が広がり、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。また、村内には湧水も豊富で、名水百選に選ばれた池山水源や山吹水源など、清らかな水が湧き出ています。

歴史を振り返ると、1889年4月1日に村制が施行されました。近年の歴史では、2016年4月14日と16日に発生した熊本地震で大きな被害を受けました。前震では震度4、本震では震度5強を観測し、さらに同日3時55分には村を震源とする最大震度6強の地震が発生、負傷者2名、家屋や道路、農業施設などに甚大な被害が出ました。

村の活性化と教育

人口は約1400人。そのうち約280人が珍しい名字「井（い）」姓であることが特徴です。このユニークな状況を生かし、2022年には11月3日を「井さんの日」として日本記念日協会に認定登録。全国の「井」姓の人々を呼び込み、村おこしを積極的に進めています。

教育面では、産山村立産山学園が小中学校を併設した義務教育学校として、地域の子どもたちの教育を担っています。国際交流にも力を入れており、タイ国カセサート大学付属中学校とは1988年から姉妹校提携を結び、継続して交流を深めています。その活動は高く評価され、2004年には第35回博報賞（文化教養育成部門）及び文部科学大臣奨励賞を受賞しました。

生活とアクセス

医療は村内唯一の産山村診療所が担い、緊急時には運動広場がドクターヘリの発着拠点となります。交通面では、村内には鉄道路線が通っておらず、最寄りの駅はJR九州豊肥本線の宮地駅（阿蘇市）となります。産交バスが宮地駅前から村内を一周する路線バスを運行しています。

道路は、国道57号、国道442号、そしていくつかの主要地方道や一般県道のネットワークで結ばれています。高速道路を利用する場合は、九州自動車道益城熊本空港インターチェンジが最寄りとなります。特徴的なのは、村内に信号機が一つもないことです。最寄りの空港は熊本空港（阿蘇くまもと空港）です。

見どころとイベント

産山村には、池山水源や山吹水源といった湧水、ヒゴタイ公園、花の温泉館、うぶやま牧場、日本の棚田百選に選ばれた扇田など、多くの観光スポットがあります。これらの場所を訪れ、豊かな自然と静かな時間を満喫することができます。また、村独自のイベントや祭りも開催されており、地元住民との交流を楽しむことも可能です。

これからも、産山村は自然と歴史、そして人々の温かさで、訪れる人を魅了し続けることでしょう。

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