産後の肥立ち

産後の肥立ちとは

「産後の肥立ち」とは、出産後の女性が体力をつけ、健康を回復するために、一定期間生活上の様々な制限を受ける伝統的な風習です。言葉自体は「産後に体力をつけて肥え太る」という意味合いを持ちますが、実際には体調を整えることを目的として行われます。

概要

産後の肥立ちの期間は、おおむね1ヶ月以上に及ぶことが多いですが、その期間や内容は地域や民族によって様々です。この期間中、出産後の女性は、民族の慣習や生活上のしきたりとして、生活上の様々な制限を受けます。これは「やってはいけないこと」として課せられることが多く、その内容は多岐にわたります。

坐月子の風習

中国では、古くから「坐月子（ズオユエズ）」と呼ばれる産後の養生法があります。これは、出産後の女性の健康維持を目的として、沐浴や洗髪を禁じたり、外気に体をさらさないようにしたりするものです。現代では、冷暖房や上水道が完備されている地域も多く、状況に応じて入浴や洗髪が許可されることもありますが、坐月子の風習は今もなお中国大陸や台湾の各地で見られます。

現代西洋医学では、坐月子は科学的根拠が乏しいとされています。しかし、伝統的な坐月子の厳しさとは対照的に、現代の坐月子では、出産した女性の静養のために坐月子センター（坐月子中心）と呼ばれる入院施設が整備されているケースも増えています。これらの施設では、資格を持つスタッフが赤ちゃんの世話をし、適切な食材を選んで調理した食事が提供されるなど、女性が産後の期間を快適に過ごせるように工夫されています。

台湾では、出産で失われた血を補うために、麻油鶏（鶏肉を米酒で煮た料理）が食べられる習慣があります。坐月子の間は、産婦に毎日麻油鶏を食べさせるという伝統的な習慣も残っています。

生活上の制限

伝統的な坐月子では、出産後の女性は以下のようなことを求められることがあります。

入浴および洗髪をしない
歯を磨かない
階段を登らない
冷たい水や食材を避ける
泣かない
性行為の禁止
縫い物をしない

これらの制限は、地域や時代によって異なり、現代では緩和されているものもあります。しかし、産後の女性の体はデリケートであり、無理な行動は避けるべきであるという考え方は、今もなお受け継がれています。

関連項目

産褥
* 産育

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