香川県綾歌郡綾川町に所在する田万
ダムは、
綾川水系に属する田万川の中流部に位置する、
香川県によって建設された多目的
ダムです。この
ダムによって形成された人造湖は「綾山湖(あややまこ)」と名付けられています。
河川の概要
田万川は、
綾川町の南東部にそびえる前山の北東山麓にその源を発します。源流から北へと流れ下り、
綾川町山田上地区で
綾川本流と合流する河川です。田万
ダムは、この田万川の流路のほぼ中間地点に築かれています。
ダムの役割と目的
田万
ダムは、単一の目的ではなく複数の目的を果たす多目的
ダムとして機能しています。主要な役割は、下流域における洪水被害を軽減するための治水(洪水調節)と、生活用水や農業用水、工業用水などを供給するための利水(水源確保)です。
特に重要な点として、田万
ダムは、その西側に隣接して流れる
綾川本流に建設されている長柄
ダム(ながら
ダム)と連携して運用されています。両
ダムが一体となることで、
綾川下流域全体の治水安全度の向上と、水資源の安定的な供給体制の確立に大きく貢献しています。
現在進められている「
綾川ダム群再開発事業」の一環として、田万
ダムと長柄
ダムの間を連結するための導水トンネル建設計画があります。このトンネルが完成すれば、両
ダム間で必要に応じて水を融通することが可能になり、より効率的かつ柔軟な
ダム運用が実現することが期待されています。これにより、異常渇水時における水供給の安定性強化や、洪水時の水位調節機能の向上が見込まれています。
貯水池「綾山湖」と周辺環境
田万
ダムの建設によって生まれた貯水池は、美しい景観を持つ綾山湖として親しまれています。湖畔には整備された道路があり、散策やレクリエーションの場として多くの人々に利用されています。
特に、1992年からは毎年秋に「綾山湖サイクルロードレース」が開催されており、湖畔の起伏を利用したコースで全国から集まったサイクリストたちが健脚を競うイベントとして定着しています。このレースは地域の秋の風物詩の一つとなっています。
綾山湖およびその周辺の自然環境は高く評価されており、2004年には「
香川のみどり百選」の一つとして選定されています。これは、
ダムが単なる構造物としてだけでなく、周辺環境との調和や景観の保全にも配慮されていることを示しています。
ダム周辺には、他にも自然を満喫できる柏原渓谷(かしはらけいこく)や、航空関連の展示がある高山航空公園(たかやまこうくうこうえん)、広大な芝生広場や遊具を備えるさぬき空港公園(さぬきくうこうこうえん)などがあり、
ダム訪問と合わせて多様なレジャーを楽しむことができます。