田万川

田万川の概要

田万川（たまがわ）は、山口県萩市を主に流れる二級河川であり、旧田万川町の中心的な存在です。この川は、阿武郡阿武町も含む水系全体の重要な資源となっています。川の源流は萩市と阿武町の境に位置する三角点で、西には犬鳴山があります。田万川は南流しながら、美しい渓谷を形成し、流れは徐々に緩やかになっていきます。

地理的特徴

田万川の流れは、まずは渓谷を通り、楢木川と合流することで平坦な盆地へ入り、引き続き東へ向かいます。弥冨集落を貫流し、多くの支流を集めながら流れを強めていきます。途中で北へ向きを変え、鈴野川や原中川、大山田川などの支流と合流し、流量が増加します。両岸は急な崖や河岸段丘が特徴で、浸食作用が強く働いています。河口付近ではゴルフ場やキャンプ場、温泉などが利用されており、訪れる人々に自然を楽しむ機会を提供しています。

田万川は多様なアウトドアアクティビティの場としても知られています。周辺の瀬越海水浴場では、海水浴や川釣りが楽しめ、春から晩秋にかけては様々な魚種が豊富に集まり、釣り愛好者にとっては最適なスポットです。また、田万川ではホタルが名物になっており、毎年の訪問者を魅了しています。新田添橋付近では、特に多くの観光客がホタル観賞に集まる姿が見られます。さらには、新流域の鈴野川では「鈴野川ほたる祭り」も開催され、多くの人々で賑わいます。

田万川カルデラ

田万川流域は、古代の火山活動により形成されたカルデラ構造「田万川カルデラ」が存在します。このカルデラは長径4km・短径7kmの楕円形をしており、火山帯特有の地形が随所に広がっています。田万川カルデラの形成は約3000万年前の噴火から始まり、その後も阿武火山群の活動が続いてきました。特に約30万年前に伊良尾山が噴火し、溶岩が川を下流に流れ、盆地状地形を形成しました。

カルデラ形成の古さから、現在はその原型をとどめない状態になっているため、「コールドロン」とも呼ばれています。流域には、河岸に見られる玄武岩の柱状節理や、地元の名所として知られる「畳が淵」などの珍しい地形が存在しています。また、1991年に発見された「龍鱗峡」は、若者たちによる命名で新たな観光スポットとして人気です。田万川の柱状節理と水中自破砕溶岩は、山口県の天然記念物に指定されています。

治水対策

2013年の豪雨では、田万川流域が大きな被害を受けました。特に堤防の決壊によって浸水被害が発生し、流域の安全対策が求められました。このため、田万川およびその支流に対して、流下能力の向上を目的とした抜本的な改修事業がスタートしました。これに関しては、河道の拡幅や堤防の強化が含まれ、全体的な工事は2022年度まで継続される予定です。

主要な支流と橋

田万川には、様々な支流が流れ込んでおり、その中には楢木川や鈴野川、原中川などが含まれています。また、地域内には多くの橋が架かっており、上山谷橋や新田添橋など、交通の要所となっています。これらの橋は、田万川の利用者にとって重要なアクセスルートであり、また美しい景観を楽しむスポットでもあります。

田万川はその豊かな自然環境や歴史的な背景から、多くの人々にとって魅力的な観光地となっています。アウトドア活動を通じて、訪れるすべての人々に感動を与える場所です。

もう一度検索