田中一穂

田中一穂について

田中一穂（たなか かずほ）は、1955年10月8日生まれの日本の財務官僚です。現在は、日本政策金融公庫の代表取締役総裁を務めています。

生い立ちと学歴

東京都出身で、父親は東京消防庁の消防士でした。東京学芸大学附属小金井中学校、東京学芸大学附属高等学校を経て、1974年4月に東京大学文科一類に入学しました。大学時代は剣道部に所属し、剣道に打ち込むあまり留年しましたが、1979年に東京大学法学部第2類（公法コース）を卒業しました。

キャリア

1979年に大蔵省に入省し、主計局総務課企画係に配属されました。その後、高山税務署長、主計局総務課長補佐、主計局主計官補佐などを歴任しました。

2000年7月には、主計局主計官（厚生・労働担当）に就任し、2002年8月には理財局財政投融資総括課長として政策金融のあり方などを担当しました。2003年7月には大臣官房秘書課長に就任しています。

2006年9月には、第一次安倍内閣の内閣総理大臣秘書官に就任しました。その後、大臣官房参事官、大臣官房審議官（主税局担当）、国税庁次長、国税庁次長兼税務大学校長、国税庁次長、理財局長などを歴任しました。

2012年8月には主税局長に就任し、第二次安倍内閣では、安倍晋三首相の信頼が厚く、法人税実効税率引き下げなどの財政政策に尽力しました。2014年7月には主計局長に就任し、主税局と主計局の両局長を歴任したのは戦後初でした。

森友学園問題

2015年7月7日、財務事務次官に就任しました。2016年6月14日には、財務省が豊中市の国有地に関する「普通財産売払決議書」を決裁しましたが、その3日後に財務省を退官しました。

同年6月20日、近畿財務局は学校法人森友学園との間で豊中市の国有地売買契約を締結しました。この売却金額は非公開とされました。この国有地売却をめぐり、後に大きな問題となる森友学園問題が発覚しました。

2017年2月、朝日新聞が、払い下げられた国有地に新設予定の小学校の名誉校長が安倍昭恵であること、売却額が近隣国有地の10分の1であることなどを報道し、問題が表面化しました。その後、国有地の売却に関する決裁文書が改ざんされていたことが発覚し、田中は改ざんに関与した疑いが持たれました。

2018年3月には、朝日新聞が国有地取引をめぐる決裁文書の書き換え疑惑を報道し、事態はさらに深刻化しました。しかし、同年5月、大阪地方検察庁特別捜査部は、田中を含む財務省幹部38人全員を不起訴処分としました。

その後のキャリア

2017年12月22日、日本政策金融公庫総裁に就任する人事が閣議了解され、12月25日に正式に就任しました。

関連情報

森友学園問題: 国有地の売却をめぐる一連の問題は、政治、行政、教育など多方面に影響を与えた一大スキャンダルとなりました。
決裁文書の改ざん: 問題の根幹には、財務省による決裁文書の改ざんがあり、国民の行政に対する信頼を大きく損なう結果となりました。

参考資料

会計検査院『学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について』
財務省『決裁文書の書き換えの状況』
財務省『森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書』
財務省『森友学園等との交渉記録【売却まで】』

田中一穂は、財務官僚として長年活躍し、そのキャリアの中で重要な役割を担ってきました。しかし、森友学園問題という大きな出来事に関与したことで、その名前は広く知られることになりました。この問題は、日本の政治と行政のあり方に大きな影響を与え、現在でもその影響は続いています。

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