田中十三

田中十三について

田中十三（たなか じゅうぞう、生没年不詳）は、日本における重要な撮影技師として知られています。彼はマキノ・プロダクションに所属し、数多くの映画作品に携わったことで、業界内での評価を確立しました。特に1920年代を通じての彼の活動は、日本映画史において非常に意義深いものです。

早期のキャリア

田中は、1921年に設立された牧野教育映画製作所の撮影部に加わり、実務経験を積み始めました。彼が初めて撮影技師として名を知られるようになったのは、1922年に公開された映画『火華』でのことです。この作品では、監督の交代というハプニングがありながらも、田中の技術が光りました。

その後、マキノ映画製作所に改組された同社にて、阪東妻三郎の主演映画『鮮血の手型』の撮影を行い、次第に重要な役割を果たすようになります。彼はマキノ関連の映画製作に欠かせないカメラマンとして、多くの作品の撮影を手がけました。

独立と日本キネマ撮影所の設立

1928年4月、俳優のマキノ総退社事件が発生し、それに伴い田中は多くの共演者たちと共にマキノ・プロダクションを離れ、独立しました。彼は大道具主任の河合広始と共に「日本キネマ撮影所」を設立し、片岡千恵蔵らスターの支援を行いました。この新たなスタジオは、多くの若手映画プロデューサーやスタッフが集まる拠点となりました。

日本キネマ撮影所は、俳優やスタッフが協力しあい、互いの映画製作を支えあう形をとりました。しかしながら、映画配給本社が崩壊すると、参加していた多くのプロダクションが立ち行かなくなり、田中のスタジオも例外ではありませんでした。

その後の活動

1930年、田中は『昨日の薔薇』という作品の撮影を行い、その後もエトナ映画社などに参加しました。彼が映画制作に関与した頃の作品は、質の高い映像が求められる時代において、その技術的水準を引き上げる役割を果たしました。

田中は1938年には『お産と民族』の撮影にも関わりますが、その後の動向は不明で、詳細がわからなくなっています。

終わりに

田中十三の影響は、彼が手掛けた映画の中に今も色濃く残っています。日本映画の発展に寄与した彼の業績は、映像芸術の基本を形成する上で重要なものでした。その存在を忘れてはならないと思います。

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