田中弘 (モータースポーツ)

田中 弘（たなか ひろむ）

田中弘は、1946年11月17日に大阪府で生まれた元レーシングドライバーであり、ヒーローズレーシングの創設者としても名高い存在です。彼は自身のチームを通じて多くの若手ドライバーを育成し、その功績から「レース界の名伯楽」と称されています。

経歴

レースデビュー

田中は1966年にホンダ・S800でレースデビューを果たします。1971年には富士GCシリーズ第3戦にシェブロンB19を持ち込み、見事3位に入賞しました。この早い段階から彼の才能が光り始めた瞬間でした。

ヒーローズレーシングの設立

1973年、田中はヒーローズレーシングを設立し、オーナー兼ドライバーとしてチームを指揮しました。日産ワークスを離脱した黒澤元治を迎え入れ、さらに中野雅晴を起用することで、プライベートチームとしての地位を確立します。しかし、富士GCシリーズ最終戦で中野が事故に遭い、命を落とす悲劇が起こります。この出来事を契機に、田中はドライバーを引退し、チームオーナー兼監督としての道を歩むこととなりました。

名選手の育成

ドライバーとしてのキャリアを終えた田中は、監督業に専念し、1976年には星野一義がヒーローズに加入します。星野は富士GCシリーズや全日本F2で数多くのタイトルを獲得する成功を収めます。その後、中嶋悟の加入もあり、ヒーローズレーシングはプライベートチームとして最高の実力を誇る組織となりました。

1982年には星野がホシノレーシングを設立し独立しますが、田中は急遽高橋徹をナンバーワンドライバーに任命します。しかし残念なことに、1983年には高橋も事故で失いました。これにより田中は再び中嶋悟をチームに迎え入れ、彼との提携で「ヒーローズレーシング with ナカジマ」として活動を再開し、1984年から1986年にかけて全日本F2選手権で3連覇を達成しました。また、片山右京を始めとする数多くのドライバーの育成にも尽力し、全日本F2や全日本F3000でのタイトル獲得を実現しました。

ヒーローズレーシングの活動終了

1995年、ヒーローズレーシングはその活動を終えましたが、田中はその後もモータースポーツ界での活躍を続けます。1996年には鈴木亜久里が立ち上げた「FUNAI SUPER AGURI」の監督に就任し、1997年にはフォーミュラ・ニッポンに参加する童夢の監督になりました。

その後、無限の全日本F3チーム監督としても成功を収め、近年でもドライバーチャンピオンを輩出しました。2007年には金石勝智が新たに立ち上げたチーム「リアル」の監督に就任するなど、長年にわたり指導者としての地位を築いています。

プライベートと信条

田中はプライベートにおいても、父子二代にわたってメルセデス車を愛し続けていましたが、2005年にBMW・M5を所有するようになったことから、車への考え方にも変化があったと語っています。

脚注

田中弘の活動は今もなお、モータースポーツ界に大きな影響を与え続けています。彼の育成したドライバーたちの成功は、彼の手腕を物語っています。

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