田中英道

田中英道の人物像

田中英道（たなか ひでみち、1942年2月20日 - ）は、日本の美術史家であり、東北大学名誉教授です。東京都出身で、フランス・イタリア美術史を専門とする一方、日本美術の国際的な価値に関する研究も深く掘り下げています。また、日本独自の文化や歴史の重要性を主張し、日本国史学会の代表を務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しています。

学歴と職歴

1960年、都立日比谷高校を卒業後、1964年に東京大学文学部仏文科を卒業。その後、1966年に同大学の美術史学科を卒業し、大学院に進学しました。フランス政府給費生としてストラスブール大学に留学し、1969年に「ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品」で博士号（PhD）を取得。帰国後は、国立西洋美術館研究員、東北大学文学部講師、助教授を経て、1992年に同大学の教授に就任しました。また、ローマ大学、ベルリン・フンボルト大学、ボローニャ大学など、海外の大学でも客員教授を歴任。2005年に東北大学を定年退官し、国際教養大学特任教授に就任しました。

研究と学説

田中英道は、西洋美術史の研究を基盤としながら、独自の視点から日本文化や歴史の本質を追求しています。特に、以下の2つの学説が注目されています。

1. 神道に関する見解：田中氏は、神道を「自然道」と捉え、日本人の自然信仰に御霊信仰や皇祖霊信仰が加わったものと解釈しています。また、人類の信仰の根源を「太陽信仰」とし、神道はその自然な発展であると主張しています。

2. ユダヤ人埴輪に関する研究：著書やYouTube番組で、古代からユダヤ人が日本に渡来していた可能性を指摘しています。特に、古墳から出土する「長い髭・長いもみあげ・帽子」を被った埴輪がユダヤ教徒の服装と酷似していることから、「ユダヤ人埴輪」と名付け、その文化的影響について考察しています。この説では、秦氏などの渡来人がユダヤ系である可能性や、古墳などの巨大建築物、絹、馬、羊、貨幣などの技術や文化がユダヤ人によって日本に持ち込まれた可能性があると主張しています。日ユ同祖論とは異なり、元々いた縄文人にユダヤ人が渡来したという説を展開しています。

言論と活動

田中英道は、評論活動、講演、執筆活動を通じて積極的に意見を発信しています。評論活動は、東京大学在学中から始まり、文学、美術、歴史など幅広い分野で展開されました。また、新しい歴史教科書をつくる会の会長を務めるなど、歴史教育にも関与。近年では、旧統一教会系の雑誌に寄稿したり、政治団体のインタビューに応じたりするなど、社会問題にも積極的に発言しています。

YouTubeチャンネルでは、「日本から見たサピエンス全史」と題し、文化史的な視点から日本と世界の歴史を俯瞰する講演を行っています。また、ポリティカル・コレクトネスについては、フランクフルト学派の影響を受けた社会破壊運動であるとして批判的な立場を取っています。LGBTQ+に関する発言も物議を醸しており、批判も寄せられています。

主要な著作

田中英道は、西洋美術史、日本史、文化史など、多岐にわたる分野で多数の著作を執筆しています。主な著書には以下のようなものがあります。

西洋美術史関連
『ラ・トゥール 夜の画家の作品世界』
『レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯』
『ミケランジェロの世界像 システィナ礼拝堂天井画の研究』

日本史関連
『日本美術全史 世界から見た名作の系譜』
『実証 写楽は北斎である―西洋美術史の手法が解き明かした真実』
『日本国史　世界最古の国の新しい物語』
『発見！ユダヤ人埴輪の謎を解く』

文化史・文明史関連
『日本の歴史　―本当は何がすごいのか』
『日本の文化　―本当は何がすごいのか』
『世界史の中の日本　―本当は何がすごいのか』

まとめ

田中英道は、西洋美術史研究の知見を活かし、独自の視点から日本文化や歴史の本質に迫る研究者です。その幅広い活動は、多くの人々に影響を与え、賛否両論を巻き起こしています。彼の著作や講演は、現代社会における文化や歴史に対する新たな視点を提供しています。

もう一度検索