田中雅彦 (バドミントン選手)

田中 雅彦

田中 雅彦（たなか まさひこ）氏は、1966年12月10日生まれ、神奈川県横浜市出身の元バドミントン選手です。身長は170cm、利き手は右。地元の松本中学校、鶴見高等学校を経て、京都外国語大学および同大学院で学んだ後、単身ヨーロッパへ渡りました。

1992年、オーストリアのウィーンにあるバドミントンクラブから誘いを受け、ヨーロッパを活動の拠点とします。その後、オーストリアのプロリーグでプレーする傍ら、国際大会へも積極的に参加。これは国際舞台で活動した日本人初のプロバドミントン選手としての道を切り拓くものでした。

オーストリア国内では、特にウィーンを中心に目覚ましい実績を残しています。1997年から2002年にかけては、ウィーンランキングトーナメントにおいて、シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスの3種目を制覇する「三冠」を複数回達成。この大会では、優勝以外にも多くの入賞を果たしています。また、ウィーンランキングでも、シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスの全てで1位の座を獲得しました。

国際大会への挑戦も積極的に行いました。近隣国のハンガリーやスロベニアでの大会で好成績を収めたほか、2001年にはオーストリア代表としてヨーロッパサーキットへ参戦を開始。オーストリア国内大会だけでなく、ポルトガル国際、クロアチア国際、キプロス国際など、海外の主要大会に単身乗り込み、貴重な国際経験を積み重ねました。同年には、バドミントンの聖地とも称される全英オープンに出場。その後、オーストリア代表としてジャパンオープンにもエントリーし、東京の国立代々木競技場で日本のファンの前でプレーを披露しました。このジャパンオープンでは、後に世界ランキング1位となり、オリンピック銀メダリストとなるマレーシアのリー・チョンウェイ選手と対戦しています。

田中氏のプレースタイルは、得意とするシングルスでは、卓越したフットワークを生かした守備型を特徴とします。パワーに優れるヨーロッパの選手に対し、正確でミスの少ないプレーでラリーを続け、相手の体力を削る戦術を得意としました。シングルスだけでなく、男子ダブルスや混合ダブルスでも高いレベルのプレーを見せています。

バドミントンを通じた国際交流にも貢献しました。2004年には、テレビ朝日系の番組「ポカポカ地球家族」が田中氏が活動するウィーンを取材。その模様が2005年2月19日に放送されると、日本のバドミントン界に大きな反響を巻き起こしました。この放送をきっかけに、多くの日本のバドミントンプレーヤーがウィーンを訪れ、田中氏のもとで指導を受けるなど、国際的な交流が活発化しました。

選手としてのキャリアにおいては、2010年2月にウィーンで開催されたオーストリア国際に、スイスプロリーグで活躍していた平松孝浩選手とペアを組んで男子ダブルスに出場。この大会が国際大会からの引退試合となりました。43歳という年齢での国際大会出場は当時、注目を集めました。しかし、その後も競技への情熱は衰えず、2021年からはオーストリア最高峰のエリートランキングトーナメントに復帰。出場選手の中で最も高齢となる54歳で、シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスの全3種目への出場を開始し、その健在ぶりを示しています。

田中雅彦氏は、日本人として初めてプロバドミントン選手の道を切り開き、オーストリアを拠点に国際舞台で長年にわたり活躍。その実績と、日本のバドミントン界に与えた影響は大きいと言えるでしょう。

公式サイトや、世界バドミントン連盟、オーストリア・バドミントン協会のプロフィールからも、その活動の一端を知ることができます。

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