田宮町 (徳島市)

田宮町（たみやちょう）：徳島市の知られざる地区

田宮町は、徳島県徳島市に存在する町名で、現在は「灘（田宮町灘）」と呼ばれる地域のみがその名残をとどめています。この地区は、徳島市の北部に位置し、新町川が吉野川へと合流する地点から南へ約600mの場所に位置しています。

地理

田宮町は、行政区分上は加茂地区に属していますが、渭北地区として扱われることもあります。特筆すべきはその街区の形状で、東西を北田宮一丁目と上助任町三本松に挟まれ、南北に細長い形状をしています。その大きさは約60m×約10mと非常に狭く、数軒の民家がひっそりと建ち並ぶのみです。

歴史

田宮という地名は、元々は現在の北田宮・南田宮を含む広大な範囲を指していました。この地には、菅原道真を祀る天神社（現在の北田宮4丁目）があり、田宮という名の由来には、菅原道真が太宰府へ流される途中にこの地を旅の宿として利用したこと、あるいは田の中にある宮であることなどが挙げられています。

中世の文献には「田宮島」という記述も見られ、当時この地が島であった可能性を示唆しています。近世に入ると、名東郡田宮村として存在し、御山下（城下町）の一部に含まれていました。しかし、1812年（文化9年）に編纂された『島々丁名改目録』には、田宮に「町」としての記載はありません。

1889年（明治22年）の町村制施行により、田宮村は矢三村、今切村、上助任村と合併し、加茂村の一部となりました。この合併により、旧村はそれぞれ加茂村の大字としてその名を残しました。

そして、1968年（昭和43年）には、田宮町の大部分が北田宮・南田宮として分離され、現在では灘のみが田宮町として残っています。

現在

2011年6月1日現在の徳島市の人口調査によると、田宮町（田宮町灘）の人口はわずか7人、世帯数は2世帯となっています。これは、田宮町が非常に小さな地区であることを物語っています。

かつて広大な範囲を誇った田宮の面影を残すのは、今やごく一部となってしまいましたが、その地名には豊かな歴史が刻まれています。

参考文献

『角川日本地名大辞典 36 徳島県』（1986年 ISBN 4040013603）

外部リンク

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