田尻常雄

田尻 常雄の生涯と業績

田尻常雄（たじり つねお）は、1876年12月25日に熊本県で生まれ、1957年4月18日に逝去した日本の著名な商学者です。彼は、大正時代から第二次世界大戦の時期にかけて、日本の商学教育に多大な貢献をしました。特に、長崎高等商業学校（現在の長崎大学）および横浜高等商業学校（現在の横浜国立大学）の校長を務めた点が特筆されます。戦後も東京経済大学の理事長や学長として、新たな教育体制の整備にも携わりました。

初期の経歴

田尻は熊本市に生まれ、1901年に東京高等商業学校（現在の一橋大学）専攻科を卒業しました。卒業後、彼は大倉商業学校で教鞭を取り、教育者としてのキャリアをスタートさせました。その後、1908年には長崎高等商業学校の教授に就任しました。このような背景から、彼は商学の専門家としての地盤を固めていきます。

校長職と教育改革

1920年に長崎高等商業学校の第4代校長に就任した田尻は、その後1923年に新設された横浜高等商業学校の初代校長に転任しました。ここでは1943年まで校長の職にあり、教育改革の推進に努めました。彼の尽力により、学生たちには商業についての深い理解と実践的な知識が授けられ、商業教育の質が向上しました。

また、田尻は「就職の神様」として学生の就職活動を支援し、財界や企業とのつながりを活かして、学生たちのキャリア形成にも寄与しました。彼は学生たちにとって頼りになる存在であり、その名声は学外にも広がっていました。

戦時下の活動

1941年の太平洋戦争の勃発後、田尻は横浜高等商業学校内に設立された太平洋貿易研究所の所長も兼務することになります。彼はここで、南洋諸島やアメリカの産業貿易についての調査と研究を行い、商学の知見を戦争中にも活用しようとしました。この時期の彼の研究は、戦後の日本経済の復興や発展に対しても影響を与えることになりました。

戦後の貢献

1943年に校長職を退き、正三位に叙されると、田尻は1948年に大倉経済専門学校の理事長に迎えられました。1950年には東京経済大学への昇格を果たし、その後も1957年まで理事長を務めました。この時期、彼は学長も兼務し、学内の改革や発展に力を注ぎました。

1957年には横浜文化賞を受賞し、彼の業績は評価され続けました。現在、横浜国立大学の常盤台キャンパスには田尻の胸像が設置されており、彼の遺徳を顕彰しています。

栄典と業績

田尻は1930年に正四位、1935年に従三位に叙されるとともに、1942年には勲一等瑞宝章を受章しています。彼の教育者としての情熱と商学界への貢献は多くの人々に影響を与え、今なおその功績は称えられる存在です。

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