田柴科制

田柴科制について

田柴科制（でんさいかせい）は、918年から1392年までの高麗王朝の時代に実施された土地に関する制度です。この制度は、田地（農地）と柴地（燃料や用途に使う土地）の2種類の土地が与えられるため、こう呼ばれています。田柴科制では、土地の所有権が与えられる代わりに、税収を受け取る権利が支給されるという特徴がありました。

歴史的背景

田柴科制の起源は976年にさかのぼり、役分田制度を起点に発展しました。この制度では、土地の分配が官職や個人の人柄を基に行われました。980年代には高麗の穆宗の治世下で、998年に制度改定がなされ、官僚（勤務している職員や過去に勤務した人）のみに対象が絞られ、支給される量も減少しました。

1076年には土地の不足が理由で、支給対象は現職の官僚に限定されることになりました。これに加えて、功蔭田柴という別の制度も存在し、上級官僚は永続的に田地と柴地を所有可能でした。軍人や地方官ともに、地位を世襲する条件付きで土地を引き継ぐことができ、これにより官吏の遺族にも田地が継承されました。

しかし、この制度は11世紀に入ると次第に問題を抱え始め、12世紀には田柴の支給が極端に縮小され、武臣たちの困窮が深まり、反乱を引き起こす原因となりました。高麗後期には制度の根本的な崩壊が進行し、一部の官僚に集中する恩給田、いわゆる事実上の私田が一般的に支給できる田柴地を圧迫し、新興官僚層から強い反発を受けました。最終的に1391年、李成桂の導入した科田法が施行され、田柴科制は廃止されました。

支給内容とその影響

田柴科制では、受給者が文武官吏から軍人、さらに閑人に至るまで18等級に分かれていました。この制度により、穀物が得られる田地と燃料用の柴地が支給されました。ただし、この際に与えられるのは土地の収租権であり、実際の所有権ではありませんでした。受給者の官職に基づくサービスや職務に対する対価として土地が支給されますので、受給者が死亡した場合や官職を退く場合には、その土地は国家に返還されることになっていました。

このように田柴科制は、高麗時代の社会構造や経済に大きな影響を与え、官僚制度の重要な一環を形成していましたが、制度の崩壊によって高麗王朝の終焉へとつながる重要な一因ともなりました。

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