科田法

科田法（かでんほう）

科田法は、朝鮮半島の高麗末期から李氏朝鮮初期にかけて実施された土地制度です。この制度は、主に官僚に土地を分配することによって、彼らの経済基盤を強化することを目的としていました。ここでいう「科田」とは、収租権が個人に帰属する私田の一種であり、現職の官僚や散官と呼ばれる高位の職官に与えられる土地を指します。この制度は、両班（貴族階級）の経済的基盤を支える中心的な役割を果たしていました。

歴史的背景

科田法の成立には、いくつかの歴史的背景があります。高麗後期には田柴科が失敗し、それに代わる制度として恭譲王3年（1391年）に科田法が公式に発表され、施行されることになりました。初期の田柴科制度では、全国の田地や柴地が官僚に支給されていましたが、科田法では京畿道のみに限定されました。1392年、高麗王朝が滅び李氏朝鮮が成立しますが、科田法はそのまま継続されました。

その後、1417年からは土地の不足が問題になり、忠清道、全羅道、慶尚道も含まれるようになりましたが、1431年には再度京畿道に限定され、土地配分の厳しさが増しました。1466年に資源の不足が深刻化すると、科田法は廃止され、現職官吏にのみ土地を支給する職田法に移行されました。

制度の内容

科田法では、土地が私田と公田に区分され、私田の中には科田の他にも様々な種類の田があります。例えば、功臣に与えられる功臣田や、地方官に与えられる外官職田などがあり、これらは官僚の身分によって異なる支給条件が設けられていました。科田は18科に分けられ、それぞれの職給に従って15結から150結の範囲で分配されました。

一つの結の生産能力は約20石（約300斗）とされ、この土地を基にして収租権者（農民など）は、一結辺り10分の1にあたる30斗を収穫することができました。土地の大部分は国有であり、したがって土地の所有者は、1結ごとに2斗を国家に税金として納める義務がありました。

相続については原則禁止されていましたが、官僚の妻には「守信田」を、未成年の子供には「恤養田」が支給されるなど、一時的な相続が認められる場合もありました。

支給状況

李氏朝鮮時代の太祖4年（1395年）の時点での品階ごとの土地の支給状況は次の通りです。

• - 正一品（大君、政丞）: 150結
• - 従一品: 125結
• - 正二品: 115結
• - 従二品: 105結
• - 正三品堂上: 85結
• - 従三品: 80結
• - 正四品: 65結
• - 従四品: 60結
• - 正五品: 50結
• - 従五品: 45結
• - 正六品: 35結
• - 従六品: 30結
• - 正従七品: 25結
• - 正従八品: 20結
• - 正従九品: 15結
• - 品階のない官吏、雑業人: 10結
• - 令、学芸を学ぶ者: 5結

このように、科田法は官僚制度を支える重要な役割を果たした土地制度であり、朝鮮の歴史において重要な位置を占めています。参考文献は朴永圭著の『朝鮮王朝実録』です。

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