田沼健

田沼健（たぬま けん）

田沼健は、1847年1月2日（弘化3年11月16日）に生まれ、1909年（明治42年）7月6日に亡くなった、幕末から明治にかけての人物です。彼は高田藩士であり、後に内務官僚、そして山梨県知事を務めました。幼名は利遂、通称は周太郎といいました。

生い立ちと初期のキャリア

田沼健は、越後国頸城郡高田蓮池横町（現在の新潟県上越市）で、高田藩士である田沼善太夫（通称：恆）の長男として生を受けました。幼少期から藩儒である木村容斎に学び、学問を修めました。明治2年（1869年）9月には高田藩史監に任命され、その後、同藩の少属十四等出仕として藩政に携わりました。

官僚としての活躍

廃藩置県後、田沼健は柏崎県に出仕し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。1873年8月には新潟県少属に就任し、楠本正隆県令の下で地方行政に携わりました。楠本が東京府知事に転任すると、1876年には田沼も同府の少書記官として東京に移り、中央での活動を始めます。1883年6月には神奈川県大書記官に転じ、各地で行政手腕を発揮しました。

山梨県知事としての功績

1893年（明治26年）3月21日、田沼健は山梨県知事に任命されました。彼の在任中、1894年（明治27年）にはコレラと赤痢が県内で大流行しましたが、田沼はこれらの感染症の防疫に尽力し、県民の健康を守るために奔走しました。また、1895年（明治28年）6月には甲府測候所を新設し、地域の気象観測体制の整備にも貢献しました。1896年（明治29年）8月12日、田沼は山梨県知事を依願免本官となり、退官しました。

退官後の生活と晩年

山梨県知事を退任した後、田沼健は横浜に閑居し、静かな生活を送りました。そして、1909年（明治42年）7月6日に、その生涯を終えました。

栄典

田沼健は、その功績により、以下の栄典を授与されています。

1883年（明治16年）7月16日 - 従六位
1893年（明治26年）4月11日 - 正五位
1896年（明治29年）9月21日 - 従四位

外国勲章

また、外国勲章として、1885年（明治18年）6月9日にハワイ王国から王冠勲章ナイトコマンドルを授与されています。

参考文献

大植四郎 編『国民過去帳 明治之巻』尚古房、1935年。
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 『山梨百科事典』増補改訂版、山梨日日新聞社、1989年。

田沼健は、幕末から明治という激動の時代において、地方行政に尽力し、人々の生活を支えた人物です。彼の足跡は、今日の私たちの社会にも大きな影響を与えています。

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