田舎のネズミ (1936年の映画)

田舎のネズミ：都会と田舎の文化衝突を描いたディズニー・シリー・シンフォニー

1936年、ウォルト・ディズニー・カンパニーによって制作されたアニメーション短編映画『田舎のネズミ』（原題：The Country Cousin）は、シリー・シンフォニーシリーズの一作品として、その年の10月31日に公開されました。第9回アカデミー賞において、アカデミー短編アニメ賞を受賞するなど、高い評価を獲得しています。イソップ寓話『田舎のネズミと町のネズミ』を原作とし、都会と田舎のネズミの対照的な生活様式や価値観をユーモラスに描いた作品として知られています。日本では劇場公開されませんでしたが、ディズニー作品愛好家からは高い人気を誇ります。

物語のあらすじ

都会で洗練された生活を送るネズミ、モンティは、田舎で暮らす従兄弟のアブナーを都会に招待します。アブナーは、都会の華やかな世界に驚き、モンティが用意した豪華な食事に大喜びしますが、彼の豪快な食べ方や騒々しい振る舞いは、上品さを重んじるモンティを悩ませます。

宴もたけなわ、アルコールを嗜んだアブナーはさらに大胆になり、モンティの制止を無視して、なんと猫に喧嘩を売ってしまいます。猫に追いかけ回され、パニックに陥ったアブナーは、都会の危険な一面を目の当たりにすることになります。大都会の喧騒の中、彼は車道に飛び出し、次々と行き交う車両に轢かれそうになりながら、九死に一生を得て、田舎へと逃げ帰ります。都会の騒がしさ、危険性、そして洗練された生活様式への適応の難しさに衝撃を受けたアブナーは、故郷の田舎の静けさと平穏さを改めて尊ぶことになるのです。

登場人物

モンティ (Monty Citymouse): 都会に住むネズミ。シルクハットとタキシードという、洗練された服装で登場します。上品で、マナーを重んじる性格ですが、アブナーの粗野な振る舞いに振り回される場面も。
アブナー (Abner Countrymouse): 田舎に住むネズミ。麦わら帽子とオーバーオールという、田舎風の服装が特徴です。モンティの従兄弟で、純朴で明るく、怖いもの知らずの性格。都会の洗練された生活には馴染めず、そのギャップが物語の笑いを生み出しています。

スタッフ

監督、脚本、音楽など、多くの才能あるスタッフによって作り上げられた作品であることも特筆に値します。

監督: ウィルフレッド・ジャクソン
原案: ラリー・クレモンズ
音楽: リー・ハーライン
アニメーター: ジャック・ハナー、レス・クラーク、アート・バビット、サイ・ヤング、その他多数

絵本

『田舎のネズミ』は、絵本としても出版されており、より幅広い年齢層に親しまれています。

* 小沢正、西岡たかし、山口俊和、片山径子『いなかのねずみ』講談社〈ディズニー名作童話館⑮〉、1988年5月17日。ISBN 4061942654

まとめ

『田舎のネズミ』は、イソップ寓話を基にした、テンポの良いユーモラスなアニメーション作品です。都会と田舎の文化の違い、そしてそれぞれの生活様式の面白さを描いた本作は、ディズニー作品の中でも隠れた名作と言えるでしょう。短い上映時間の中に、多くの笑いと教訓が凝縮されています。日本未公開という点も、ディズニーファンにとって、探求心をくすぐる要素となっています。

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