田谷廣明

田谷廣明：その経歴とスキャンダル

田谷廣明（たや ひろあき）は、1944年12月27日、東京都に生まれました。元大蔵官僚であり、現在は投資家、経営コンサルタントとして活動しています。東京大学法学部を卒業後、大蔵省に入省。主計局では公共事業や防衛予算の編成に携わり、事務次官候補と目されるほどのキャリアを積みました。

大蔵省でのキャリア

田谷氏は、大蔵省入省後、主税局を経て、主計局でその手腕を発揮します。1978年から1983年まで主計局で公共事業や防衛の予算編成を担当。1987年からは主計官として運輸、通産、公共事業の予算を担当しました。その間、主計局総務課長も務めており、将来の事務次官候補と目されていました。

「昭和の三大バカ査定」発言

田谷氏のキャリアの中で、特に注目されるのが、運輸・郵政担当主計官時代に行った「昭和の三大バカ査定」発言です。大蔵省の内示説明の場で、整備新幹線着工問題に関して、「戦艦大和・武蔵、伊勢湾干拓、青函トンネル」と並べ、整備新幹線を「その一つになる」と批判しました。この発言は、当時の社会に大きな波紋を呼び、議論を巻き起こしました。

スキャンダルと辞任

1995年、田谷氏は「週刊文春」に、イ・アイ・イ・グループ代表の高橋治則との過剰な接待旅行が報じられました。高橋氏のプライベートジェットで香港に旅行したことが明らかになり、社会的な批判を浴びます。衆議院予算委員会での高橋氏の証人喚問で事実が確認されると、田谷氏は東京税関長を更迭され、訓告処分を受けました。同年12月31日、大蔵省を辞職しました。このスキャンダルは、田谷氏のキャリアに大きな傷跡を残すこととなりました。

その後の活動

大蔵省を辞職後、田谷氏は投資家、経営コンサルタントとして活動しています。その詳細な活動内容は公にはあまり知られていませんが、大蔵省での経験を活かし、多方面で活躍していると推測されます。

年譜

1944年12月27日 - 東京都にて出生
1963年 - 東京学芸大学附属高等学校卒業
1968年 - 東京大学法学部卒業、大蔵省入省
1970年 - 大蔵省大臣官房調査企画課
1971年 - 通商産業省へ出向、重工業局電子政策課企画係長
1973年 - 室蘭税務署長
1974年7月 - 大蔵省主税局税制第三課課長補佐（通則法規担当）心得
1975年7月 - 大蔵省主税局総務課課長補佐（歳入担当）
1977年7月 - 大蔵省主税局税制第一課課長補佐
1978年7月 - 大蔵省主計局主計官補佐（公共事業第二係主査）
1979年7月 - 大蔵省主計局法規課課長補佐
1980年7月 - 大蔵省主計局主計官補佐（防衛第一係主査）
1982年6月 - 大蔵省主計局主計官補佐（公共事業総括、第一係主査）
1983年6月 - 熊本県へ出向、企画開発部長
1985年7月 - 大蔵省主計局主計企画官（財政計画担当）
1986年6月 - 大蔵省大臣官房企画官兼主税局税制一課
1987年6月 - 大蔵省大臣官房参事官兼主税局
1987年7月 - 大蔵省主計局主計官（運輸、郵政担当）
1989年7月 - 大蔵省主計局主計官（外務、通産、経済協力担当）
1991年7月 - 大蔵省主計局主計官（建設、公共事業総括、公共事業担当）
1992年7月 - 大蔵省主計局総務課長
1994年 - 東京税関長
1995年 - 官房付き。その年の12月31日付で辞職

まとめ

田谷廣明氏は、大蔵省で将来を嘱望された官僚でしたが、「昭和の三大バカ査定」発言や、二信組事件に関連する過剰接待スキャンダルによって、そのキャリアを終えることになりました。しかし、その経歴は、当時の官僚社会の構造や、日本の政治経済のあり方を考える上で、重要な事例として記憶されるべきでしょう。

参考文献

岸宣仁『検証 大蔵省崩壊―権力の巨塔を襲った絶体絶命の危機』東洋経済新報社、1996年。ISBN 4-492-21082-2。
* 栗林良光『大蔵省主計局』講談社、1990年。ISBN 4-061846205。

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