高橋治則

高橋治則の生涯と業績

高橋治則（たかはし はるのり、1945年10月9日 - 2005年7月18日）は、日本の著名な実業家であり、特にバブル経済期におけるリゾート開発においてその名を広めました。彼はイ・アイ・イ・インターナショナルの社長として、総資産が1兆円を超える企業グループを構築し、「環太平洋のリゾート王」と称されました。

幼少期と教育背景

高橋は長崎県平戸島で生まれ、その後東京に戻ると慶應義塾幼稚舎に進学しました。彼は慶應義塾普通部、高等学校と進学しますが、架空パーティー券事件に巻き込まれ、退学を余儀なくされます。その後世田谷高校に転校し、1964年には一般入試で慶應義塾大学法学部に合格しました。兄弟である治之とともにスポーツにも励み、ボクシングやアイスホッケーに親しみました。

日本航空でのキャリア

1968年、高橋は慶應義塾大学を卒業し日本航空に入社。1972年にはニューヨークのジョン・F・ケネディ空港での研修を経て、大阪空港勤務となりました。その後、5年先輩の河西宏和と共に貿易会社「国洋開発」を設立し、これが後のイ・アイ・イ・インターナショナルの前身となります。1976年に日本航空を退職し、実業家としての道を歩み始めました。

事業への転身

1977年、高橋は経営不振にあった株式会社イ・アイ・イの副社長に就任し、父が社長を務めました。彼は事業の立て直しに成功し、1983年に社長に昇進、その後の85年には株式の店頭公開を果たします。これ以降、国内外でリゾート開発や不動産事業に注力し、世界各国を飛び回るようになります。

海外事業の拡大

高橋は、1986年にサイパンのハイアット・リージェンシーを32億円で購入。続いて、シドニーのリージェントホテルや香港のボンドセンターなどを買収し、リゾート開発を国内外で展開しました。特にオーストラリアにおいては先駆的な大学を設立するなど、多岐に渡って業績を伸ばしました。

国内事業と多角化

国内では、協和信用金庫を再建し、さまざまな上場企業の経営を手掛けました。さらに、電話市場への進出を図り、日本携帯電話（後の東京デジタルホン）を設立し、ゴルフ場開発など様々な事業に精を出しました。1990年には、公益財団法人情報科学国際交流財団を設立し、初代理事長に就任するといった活動も行いました。

バブル経済の崩壊

バブル経済が崩壊すると、高橋の企業も難局に直面します。特に1990年に導入された総量規制が響き、資金繰りが厳しくなる中、日本長期信用銀行の管理下に置かれ、債務整理を強いられました。1995年には背任容疑で逮捕されるなど、厳しい状況が続きました。彼は一貫して無罪を主張しましたが、1999年には懲役判決を受け、その後、高裁に控訴します。

晩年と死去

高橋は様々な法的戦いを繰り広げる中、2005年7月18日にくも膜下出血で死去しました。享年59歳。この訃報は、多くの業界関係者に衝撃を与え、通夜には2,000人を超える参列者が訪れました。

家族と親族

高橋の家庭は実業家として著名で、父・義治は大正5年に生まれ、昭和61年まで活躍しました。また、妻の家族も北海道テレビ放送などで名を馳せています。そして高橋家の先祖は、1640年頃に平戸藩に仕えた下級武士だとされています。

高橋治則は、一介の実業家から一時代を築き上げた人物です。その波乱に満ちた生涯は、日本の経済史における重要な一章となっています。

もう一度検索