田辺国昭

田辺国昭（たなべ くにあき）氏は、1962年生まれの日本の行政学者です。行政学、政策科学、政策評価、社会保障・財政政策を専門としています。東京大学公共政策大学院の院長、同大学院法学政治学研究科の教授を務めており、行政学者の西尾勝氏に師事しました。

経歴

田辺氏は、1977年に東京教育大学附属中学校（現・筑波大学附属中学校）を卒業後、1980年に筑波大学附属高等学校を卒業しました。1984年には東京大学法学部を卒業し、東京大学の学士助手となりました。

その後、1987年に東北大学法学部の助教授、1993年に東京大学大学院法学政治学研究科の助教授を経て、2000年に同研究科の教授に就任しました。

2010年から2012年までは東京大学公共政策大学院の院長を務めました。この間、人事院契約監視委員会委員長、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会臨時委員、財務省の政策評価の在り方に関する懇談会メンバーなど、政府の委員会や懇談会で数々の役職を歴任しました。また、2015年から2017年には中央社会保険医療協議会の会長、公益側委員を務め、2020年からは国立[[社会保障・人口問題研究所]]の所長に就任しました。

研究活動

田辺氏は、行政学、政策科学、政策評価に関する多数の論文を発表しています。主な論文には、以下のようなものがあります。

「生活保護政策の構造――公的扶助行政における組織次元の分析（1-4）」
「戦後日本のストライキ――55年体制における労使紛争、その政治経済学的接近（1・2）」
「行政組織と統計情報」
「1950年代における地方財政調整制度の構造と変容」
「行政学の諸問題――西尾勝著『行政学の基礎概念』によせて（1-4）」
「生活保護政策における最低生活基準の決定過程」
「生活保護行政における最低生活基準の決定過程――決定ルールの構造とその転換」
「行政組織における人事異動――1つのリサーチ・プログラム」
「行政の変化を捉えるには――『社会環境の変動とガヴァメンタルシステムの動態的連関に関する調査研究』のための概念枠組み」
「財政投融資計画の策定過程――決定における時間と組織」
「地方分権と再分配政策のダイナミックス――国民健康保険を例に」
「老人保健福祉計画の策定過程と行政モデルの転換」
「改革なき適応――1980年以降の日本の地方財政」
「電力産業の規制緩和の比較研究――日本とアメリカを例に」
「政策評価の仕組み」
「20世紀の学問としての行政学?――『新しい公共管理論（New Public Management）』の投げかけるもの」
「税務行政の政策評価とその課題」
「実績評価の課題」
「政策評価制度の構築とその課題」
「地方財政の危機と改革」
「中央省庁における政策評価の現状と課題――期待と失望のスパイラルを超えて」
「小泉政権下における政策過程の変容と府省の対応」
「政策評価制度の運用実態とその影響」
「政策評価の現状と課題――評価を有効にする組織条件」

これらの論文では、生活保護、労働争議、行政組織、地方財政、政策評価など、多岐にわたるテーマを取り上げ、実証的な分析を通じて日本の行政制度や政策過程の実態を解明しようとしています。また、政策評価の理論的枠組みや制度設計に関する研究も行っており、行政学の発展に大きく貢献しています。

人物

田辺氏は、行政学者としてだけでなく、政策立案にも深く関わっており、日本の行政改革や政策評価制度の導入に大きな役割を果たしました。その研究活動と政策への貢献は、日本の行政学において重要な位置を占めています。

また、田辺氏は、筑波大学附属中学校・高等学校の人物一覧にも名前が掲載されているように、名門校の出身であり、行政学研究者としてだけでなく、教育者としても後進の育成に力を注いでいます。西尾勝門下であり、牧原出氏とは、東京大学助手から東北大学助教授に転任した際に、講座を引き継いだ関係にあります。

外部リンク

* GraSPP 教員紹介 田邊 國昭

田辺国昭氏は、日本の行政学の発展に大きく貢献した、重要な研究者の一人と言えるでしょう。

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