田辺城 (丹後国)

田辺城の歴史

田辺城（たなべじょう）は、京都府舞鶴市に位置する日本の城です。別名、舞鶴城（ぶがくじょう）とも呼ばれ、舞鶴市の指定史跡となっています。その歴史は、鎌倉幕府・室町幕府の丹後守護所であった八田守護所にまで遡ると言われています。戦国時代から江戸時代にかけて、この地で重要な役割を果たしました。

室町時代

室町幕府の時代、丹後守護所は加佐郡の八田に置かれていました。丹後守護の一色氏は、八田の守護館で政務を行っていました。しかし、若狭武田氏との抗争時には、背後の建部山にある建部山城に籠城して戦いました。この時代、八田の守護館は平地に位置していたため、有事の際には山城が重要な役割を果たしました。

戦国時代

1578年（天正6年）、織田信長の命を受けた長岡藤孝（後の細川幽斎）が、守護大名の一色義道を滅ぼし丹後を制圧しました。藤孝は当初、宮津城を居城としていましたが、京都に近く交通の要所である旧丹後守護所の八田（現在の田辺）に、田辺城を築き、経営の中心としました。その後、藤孝は隠居し、子の細川忠興に城を譲りました。

田辺城攻防戦

1600年（慶長5年）、関ヶ原の戦いが勃発すると、当主の細川忠興は徳川家康率いる東軍に味方しました。隠居していた藤孝は、西軍の攻撃を防ぐため、宮津城を焼き払い、田辺城に入城し西軍を迎え撃ちました。田辺城は、石田三成の家老・島清興の親族である小野木重勝や豊臣家の重臣・前田玄以の子である茂勝が率いる西軍1万5千人に包囲され、50日に及ぶ攻防戦が繰り広げられました。この戦いの中で、藤孝は自身の持つ「古今伝授の書」が戦火で失われることを恐れ、後陽成天皇に献上しました。藤孝の戦死を憂いた後陽成天皇の仲介により西軍は攻撃を中止し、藤孝は命を助けられました。その後、田辺城を開城した藤孝は、敵将である前田茂勝の丹波亀山城に入りました。この時の田辺城の状況を記録した『三刀谷田辺記』は、当時の城内事情や一般武将の視点を伝える貴重な資料となっています。

江戸時代

戦後、細川忠興は豊前国小倉へ転封となり、京極高知が丹後一国12万3千石を与えられ、田辺城に入城しました。しかし、その後宮津城を再築し本拠地を移したため、田辺城の建造物は破却されました。京極高知の遺言により、京極家は嫡男・高広が宮津藩、次男・高三が田辺藩（舞鶴藩）、養子・高信が峰山藩を相続しました。初代舞鶴藩主となった京極高三は、荒廃していた田辺城の石垣を修復し、櫓を再建しました。再建後の田辺城は、二の丸を中心に御殿や櫓、櫓門が建てられました。京極氏の後は、牧野氏が田辺藩に入封し、大手門や城門、石垣などが改築されました。牧野氏は明治時代までこの地を治め、1869年（明治2年）には版籍奉還が行われ、田辺藩は舞鶴藩と改称しました。

現在の田辺城

現在、田辺城跡は舞鶴公園として整備されており、1940年（昭和15年）に復興された二層櫓の彰古館、1992年（平成4年）に模擬復興された城門には田辺城資料館があります。天守台石塁なども残り、当時の面影を偲ぶことができます。また、濠は埋め立てられており、現在は存在しません。

アクセス

西日本旅客鉄道（JR西日本）舞鶴線・西舞鶴駅から徒歩4分。
京都駅より特急まいづるに乗り、約1時間30分で西舞鶴駅着。
舞鶴若狭自動車道・舞鶴西ICから車で10分。

関連項目

日本の城一覧#京都府
まいづる細川幽斎田辺城まつり

外部リンク

田辺城資料館（田辺城跡） 舞鶴観光ネット

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