田辺昭三

田辺昭三の生涯と業績

田辺昭三（たなべ しょうぞう、1933年8月8日 - 2006年2月20日）は、日本の考古学界において重要な役割を果たした学者です。須恵器の研究や水中考古学の分野で特に知られています。彼は奈良大学の助教授から教授に昇格し、その後、京都市埋蔵文化財研究所の調査部長としても活動しました。また、京都芸術短期大学や神戸山手大学でも教鞭をとりました。

初期の経歴

田辺は静岡県の小笠郡菊川町で生まれました。中学生の時に参加した登呂遺跡の発掘調査は、彼の考古学への関心を高めるきっかけとなりました。また、菊川市の白岩遺跡の調査にも関与し、その際に東洋大学の教授である和島誠一から大きな影響を受けました。1952年に静岡県立掛川西高等学校を卒業後、立命館大学に進学し、大学院を修了しました。

教職と研究の道

大学卒業後は平安高等学校で教職に就きましたが、1973年には平安京調査会の代表に選出され、以後の発掘調査に深く関与しました。1976年に設立された京都市埋蔵文化財研究所では調査部長として、平安京跡の発掘に取り組み、その成果を上げました。

特に注目すべきは、大阪府堺市南部の陶邑窯跡群の研究です。ここから出土した須恵器に関する編年史をまとめ、『須恵器大成』として出版。この研究が評価され、1983年には日本学士院賞を受賞しました。「田辺編年」として知られる彼の須恵器の編年は、日本考古学において大きな影響を与えています。1987年には、立命館大学にて学位論文を提出し、文学博士号を取得しました。

水中考古学と国際的な研究

1988年、田辺は広島県の宇治島で見つかった沈没船について調査しました。この船は坂本龍馬らが乗船していた「いろは丸」ではないかとの考えがあり、彼の指導の下で調査が行われ、その結果が発表されました。また、1995年および1996年には、中国の尼雅遺跡群の研究にも参加し、国際的な研究にも貢献しました。

晩年と業績の集大成

2001年に劇症肝炎を患いましたが、その後回復しました。2004年には、掛川市に自身の蔵書約20,000冊を寄贈し、これが「田辺文庫」として設立されました。彼は72歳で肝不全により急逝しましたが、その生涯にわたる研究と教育活動は、日本の考古学界において重要な位置を占めています。

受賞歴と著作

田辺は1983年に日本学士院賞を受賞し、その功績が評価されています。著作には『須恵器大成』や多くの論文があり、共著や編纂にも関わった資料が存在します。特に須恵器に関する研究は、彼の専門性を顕著に示すものといえるでしょう。

研究の成果は、今後も考古学の分野において検討され続けるでしょう。

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