田邊朋之

田辺 朋之（たなべ ともゆき）は、大正13年（1924年）9月12日に生まれ、平成14年（2002年）12月26日に78歳で亡くなった日本の医師であり政治家です。本名は田邊朋之と表記されることもあります。広島県の出身です。

生涯

田辺氏は、現在の広島県庄原市にあたる、当時比婆郡西城町で生を受けました。12歳だった昭和12年（1937年）に大阪へ移り住み、旧制四条畷中学校（現在の大阪府立四條畷高等学校）に進学します。その後、医学を志し、京都府立医科大学で学びました。昭和23年（1948年）に大学を卒業後、母校の整形外科助手として医療の道を歩み始めます。

医師としての歩み

大学での勤務を経て、昭和32年（1957年）には京都市四条通に自身の医院である田辺医院を開業し、地域医療に貢献しました。開業医として活動する傍ら、医師会の活動にも積極的に関与し、昭和41年（1966年）には京都府医師会の理事に就任します。さらに副会長を経て、昭和59年（1984年）には京都府医師会の会長に就任するなど、医師会活動の中心的役割を担いました。医師会での経験は、その後の政治家としてのキャリアに繋がっていきます。

京都市長として

平成元年（1989年）、古都税を巡る混乱の責任を取る形で前市長の今川正彦氏が任期途中で退任したことに伴う京都市長選挙に立候補します。この選挙では、共産党が推薦する対立候補に対し、わずか321票差という極めて僅差での当選を果たし、京都市長に就任しました。市長としては2期を務めましたが、2期目の任期途中である平成8年（1996年）に退任しています。

市長在任中には、多岐にわたる施策に取り組みました。中でも、平安遷都1200年記念事業を精力的に推進し、その一環として京都国際市民マラソンや世界歴史会議などの大規模な国際的な催しを実現させました。これは、古都京都の歴史と文化を国内外に発信する機会となりました。また、京都市営地下鉄東西線の整備にも力を尽くし、都市交通網の充実に貢献しました。

一方で、都市開発における規制緩和を進めたことは、賛否両論を巻き起こしました。特に、京都ホテルやJR京都駅ビルといった主要な建築物の高層化計画を承認したことは、古都の歴史的な景観を守ろうとする動きと開発推進との間で激しい対立を生み、古都の景観保全を巡る論争が活発化する大きな契機となりました。こうした開発と保全のバランスは、現在も京都市の重要な課題の一つとなっています。また、京都府公安委員も務めるなど、市政以外の分野にも関与しました。

晩年と栄典

市長退任後は公職から離れました。平成14年（2002年）12月26日、慢性腎不全のため京都市中京区の病院で死去しました。享年78でした。その死没日をもって、正五位に叙されました。生前、平成8年（1996年）には勲三等旭日中綬章を受章しています。医師、そして政治家として、戦後の京都の医療と市政に足跡を残しました。

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