由岐神社

由岐神社：鞍馬の地を守る古社

由岐神社は、京都市左京区鞍馬本町に位置する神社で、「靫明神（ゆきみょうじん）」の通称で知られています。鞍馬寺の鎮守社として、地域の人々に深く信仰されています。

歴史

由岐神社の創建は、平安時代に遡ります。元々は宮中に祀られていた神々を、平安京で起きた大地震や天慶の乱を鎮めるため、朱雀天皇の勅命により天慶3年（940年）に鞍馬山の地に遷宮しました。これにより、都の北方鎮護を担うことになったのです。

例祭である鞍馬の火祭は、神霊を迎える際に里人がかがり火を灯したことに由来します。この火祭は、現在も地域社会に根ざした重要な行事として受け継がれています。

「靫明神」という社名は、天皇の病や国難の際に、神前に靫（ゆき）を献じて平穏を祈ったことに由来します。

慶長12年（1607年）には、豊臣秀頼によって本殿および拝殿が再建されました。この再建により、桃山建築の粋を凝らした美しい社殿が現在に伝えられています。

祭神

由岐神社の主祭神は、大己貴命（おおなむちのみこと）と少彦名命（すくなひこなのみこと）で、「由岐大明神」と総称されています。また、八所大明神も相殿に祀られています。

境内

境内には、本殿のほか、三宝荒神社、白長弁財天社、冠者社、岩上社、大杉社、八幡宮社など、多くの社が鎮座しています。

本殿：2023年に改築されています。
三宝荒神社：火の神、竈の神として古くから祀られており、火難除けの信仰を集めています。
白長弁財天社：弁財天を祀っています。
冠者社：素戔嗚命を祀り、商売繁昌の神として信仰されています。
岩上社：事代主命と大山祇命を祀っています。
大杉社：御神木である大杉を祀り、願掛け杉として信仰されています。地元では「大杉さん」と呼ばれ親しまれています。
八幡宮社：八幡大神を祀っています。
拝殿（割拝殿）：慶長12年（1607年）に豊臣秀頼によって再建された、割拝殿形式の桃山建築です。重要文化財に指定されています。

文化財

由岐神社には、以下の文化財があります。

重要文化財
拝殿（割拝殿）
石造狛犬 一対：京都国立博物館に寄託され、「石造獅子」として展示されています。
京都市指定天然記念物
大杉社の御神木：杉3本、カゴノキ1本
京都市登録無形民俗文化財
* 鞍馬火祭

参拝情報

由岐神社の境内は無料で入場できますが、鞍馬寺の境内にあるため、鞍馬寺の入山料（愛山料）が必要です（高校生以上500円）。ただし、中学生以下は無料です。

鞍馬寺山門から出ている鞍馬山鋼索鉄道を利用すると、由岐神社を通り過ぎてしまうため、徒歩で参道を下る必要があります。

由岐神社は、鞍馬の豊かな自然に囲まれた、歴史と文化が息づく場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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