鞍馬山鋼索鉄道

鞍馬山鋼索鉄道（鞍馬山ケーブル）について

鞍馬山鋼索鉄道、通称鞍馬山ケーブルは、京都府京都市左京区にある鞍馬寺への参詣者の便を図るため、宗教法人鞍馬寺が運営しているケーブルカーです。鉄道事業法に基づく鉄道としては、日本で唯一宗教法人が運営しています。総延長はわずか0.2kmで、これは鉄道事業法に基づく路線としては日本一短い距離です。路線は単線で、1両の車両が駅間を往復するのみで、行き違い設備はありません。乗務員や出札係員などの多くは作務衣を着用しており、その独特な雰囲気が特徴です。

2016年5月20日からは、新しい設備と車両での運行が行われています。特に記載がない限り、車両などのデータは2015年5月10日に引退した3代目車両のものに基づいています。

路線データ

路線距離: 191m (0.2km)
軌間: 800mm
駅数: 2駅（山門駅、多宝塔駅）
高低差: 89m
最急勾配: 499‰（約26°31′）

運行形態

閑散期には15分から20分間隔で運行され、所要時間は約2分です。多客時にはピストン運転（高頻度運転）が行われます。始発は山門駅発が8時40分で、多宝塔駅はピストン運転時以外は始発の5分後に発車します。最終は山門駅発が16時30分ですが、6月から8月は17時00分まで延長されます。

車両

車両には、鞍馬寺で修行した源義経の幼名「牛若丸」にちなみ、「牛若號」の愛称が付けられています。1996年製の3代目車両「牛若號III」の諸元は以下の通りです。

乗客定員: 31人（ただし、実際は28人で運用）
軌道および運行システム設計・施工: 安全索道株式会社（1996年）
車両製作: 大阪車輌工業株式会社（1996年）

軌間800mmのゴムタイヤ式の車両1両と錘との交走式を採用しています。開業当初の1957年の車両は軌間762mmの鉄車輪2両交走式でした。1976年から使用された2代目車両はゴムタイヤ式に改められましたが、架線集電を行っていました。1996年からの3代目より架線が廃止され、モノレールや新交通システムのように軌道脇から集電する方式に変更されました（ただし、ケーブルカーの走行中の集電は、照明、前照灯、車内放送、前窓ワイパー用であり、動力用ではありません）。2016年からの4代目車両「牛若號IV」は車内で使用する電源を駅で充電する方式になりました。

運賃

鉄道事業法による許可を受けた鉄道としては、現在唯一運賃が無料の鉄道です。ただし、鞍馬寺に諸堂維持の寄付金（1口200円、小学生は100円）を寄付した人が、鞍馬寺からのお礼として無料で乗車できる仕組みになっています。実質的に寄付金が運賃とみなせます。これは、鉄道に対する運賃として扱うと宗教法人法により営利事業とみなされ課税されるため、寺院への寄付金として宗教活動の一環とすることで非課税扱いとするための措置です。なお、身体障害者手帳を持っている人とその付き添い人は、手帳の等級に関わらず寄付金なしで乗車できます。

鞍馬寺の公式サイトでは、「鞍馬山ケーブルは、足の弱い方や年配の方が少しでも楽に参拝できるように敷設されたもので、営利事業ではありません。運賃をいただくのではなく、鞍馬山内の堂舎維持にご協力いただいた方に、そのお礼としてケーブルを利用していただくということになっています。」と説明しています。

改修前は、駅受付で寄付をした人に「参拝記念の花びら（片道乗車票）」が交付されていましたが、改修後は自動券売機による寄進票（事実上の乗車券）に変更されました。以前は「参拝記念」と書かれた花びらの形の紙が置かれていて、自由に持ち帰ることができましたが、現在この配布は終了しています。

寺側は、歩行できる人には参道を歩くことを推奨しています。これは、自然の中を歩いて参拝することで、鞍馬寺の本尊である「尊天」をより強く感じることができ、途中の由岐神社や「魔王の滝」など多くの見どころも楽しむことができるからです。この道は、牛若丸や清少納言も歩いた歴史ある道でもあります。

歴史

1957年（昭和32年）1月1日 - 山門 - 多宝塔間が開業。
1976年（昭和51年）1月 - 2代目車両運行開始（ゴムタイヤ式）。
1996年（平成8年）8月8日 - 3代目車両運行開始（ゴムタイヤ式）。
2015年（平成27年）5月11日 - 改修工事のため運休（当初2016年3月31日までの予定）。
2016年（平成28年）5月20日 - 4代目車両で運行再開。

駅一覧

山門駅: 1992年に完成した「普明殿」が駅舎を兼ねています。
多宝塔駅: ケーブルカー開通当時に建設された「多宝塔礼堂」が駅舎を兼ねています。

接続路線

山門駅: 叡山電鉄鞍馬線の鞍馬駅から徒歩5分。

輸送実績

詳細な輸送実績については、私鉄統計年報各年版、民鉄主要統計『年鑑世界の鉄道』1983年、『年鑑日本の鉄道』1993.2003年を参照してください。

脚注

詳細な情報は、各年の統計資料をご確認ください。

関連項目

日本の鉄道路線一覧

外部リンク

鞍馬寺

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