由木文彦

由木 文彦（ゆき ふみひこ）

由木 文彦は、1960年（昭和35年）10月8日に島根県松江市で生まれた日本の官僚です。島根県立松江北高等学校を経て、1983年3月に東京大学法学部を卒業しました。同年4月、国家公務員採用上級甲種試験（法律）に合格し、建設省に入省しました。

官僚としての経歴

建設省入省後、由木氏は多様な部署での経験を積みました。初期には、東北地方建設局用地部用地第一課長を務めるなど、地方の現場にも関わっています。その後、建設省本省の都市局都市政策課で課長補佐を務めるなど、政策立案の一端を担いました。

キャリアの途上では、他の省庁や自治体への出向も経験しています。1991年から1994年にかけては福島県庁に出向し、企画調整部で企画主幹、地域開発課長、企画調整課長などを歴任しました。この期間、地方行政の視点から企画・開発業務に深く関わりました。

建設省に戻った後も、国土庁土地局土地政策課課長補佐や、建設省大臣官房人事課課長補佐を務めるなど、幅広い分野で経験を積みました。特に人事課では、組織の中枢における業務に携わりました。

1998年7月には建設経済局不動産産業課不動産市場整備室長に就任。また、この時期には内閣官房内閣審議室や中央省庁等改革推進本部事務局の企画官も兼務し、省庁再編などの国の重要な改革に関与しました。

2000年7月に建設省大臣官房人事課企画官となり、2001年1月の省庁再編を経て国土交通省大臣官房人事課企画官として引き続き人事分野の企画に従事しました。2002年には住宅局住宅企画官として住宅政策の企画に携わりました。

2003年7月からは再び内閣官房に出向し、内閣総務官室の内閣参事官を務めました。その後、2006年10月には国土交通省都市・地域整備局都市計画課長に就任し、都市計画分野の責任者として重要な役割を果たしました。

2009年4月からは、京都市副市長として地方自治体の運営に参画しました。3年間の任期中、京都市政の重要な課題に取り組みました。

2012年4月に国土交通省に戻った後、再び内閣官房に出向し、内閣官房副長官補付の内閣参事官、行政改革推進室参事官、さらには内閣府本府行政刷新会議事務局の業務にも関わりました。行政改革や刷新に向けた取り組みに深く携わりました。

2012年9月には内閣総務官室の内閣審議官に就任。

2014年7月、国土交通省大臣官房総括審議官に就任。省全体の政策調整や重要事項の審議に携わる要職です。

国土交通省の主要ポストと復興庁事務次官

2015年7月31日、国土交通省住宅局長に昇進。日本の住宅政策全般を統括する責任者となりました。2017年7月7日には総合政策局長に就任。国土交通行政の根幹をなす総合的な政策の企画・立案・推進を担いました。

2018年7月31日には、国土交通審議官に就任。これは国土交通省における次官級の要職であり、省の重要政策に関する高度な調整や国際的な対応などを担当しました。

そして2020年7月20日、東日本大震災からの復興を担う復興庁の事務方トップである事務次官に就任。被災地の復興加速に向けた重要な役割を担いました。2021年7月1日に退官。

退官後

官僚生活から退いた後、2022年6月28日には東日本高速道路株式会社の代表取締役社長に就任しました。これは、長年にわたる国土交通分野での経験や、公共事業・インフラ整備に関する深い知識、組織運営能力などが評価されたものと考えられます。

由木氏は、30年以上にわたる官僚としてのキャリアを通じて、建設行政、都市・住宅政策、地方行政、行政改革、そして震災復興といった幅広い分野で重要な役割を果たしてきました。退官後も、高速道路事業という形で引き続き日本のインフラ整備に貢献しています。

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