甲子園阪神パーク

甲子園阪神パーク：時代を彩った遊園地の歴史

甲子園阪神パークは、1929年から2003年まで、兵庫県西宮市の甲子園地域に存在した遊園地です。阪神電気鉄道によって運営され、地域の人々に愛されるレジャースポットとして親しまれました。

開園から戦争による閉鎖まで

1929年、甲子園阪神パークは鳴尾浜の海にせり出す形で開園しました。当時、大手私鉄各社は沿線に遊園地を設けることで利用者の誘致を図っており、阪神パークもその一環として建設されました。付近には阪神甲子園球場や鳴尾競馬場もあり、甲子園一帯は阪神電鉄にとって重要なレジャーゾーンでした。開園当初は、海に面した立地を活かしたユニークな施設が特徴でした。

しかし、1943年になると、戦争の拡大により、隣接する鳴尾競馬場とともに海軍基地として接収され、閉鎖を余儀なくされました。敷地は鳴尾飛行場の滑走路として利用されることとなり、甲子園阪神パークは一時的に姿を消すこととなりました。

戦後の再建と新たな展開

戦後の1950年、甲子園阪神パークは場所を移し、阪神甲子園球場の東隣に再建されました。再開園後は、動物園や水族館などの施設が拡充され、より魅力的な遊園地として生まれ変わりました。

多様な施設と人気アトラクション

甲子園阪神パークには、様々な施設がありました。動物園では、ゾウ、サル、キリン、フラミンゴなどが飼育され、特に戦前の「ペンギンの海」や、戦後のレオポンは人気を集めました。阪神水族館は、当時日本最大級の規模を誇り、天井水槽や熱帯魚の展示、イルカの飼育などが注目を集めました。また、ジェットコースター、モノレール、観覧車などの遊戯施設や、夏季にはプールも開設され、多くの人々が訪れました。

時代と共に変化するパーク

1980年代には、プールで女性アイドルのミニコンサートが開催されるなど、時代に合わせた新しい取り組みも行われました。しかし、1990年代後半になると、USJの開業などの影響で来場者数が減少し始めます。そのため、1997年には、入園料を無料にして住宅展示場を併設した「阪神パーク甲子園住宅遊園」としてリニューアルしました。しかし、このリニューアルも来場者数の減少を食い止めることはできず、2003年3月30日をもって閉園することとなりました。

閉園とその後

閉園後、跡地は商業施設「ららぽーと甲子園」として生まれ変わりました。甲子園阪神パークは、長年にわたり地域の人々に愛されてきましたが、時代の流れとともにその歴史に幕を閉じることとなりました。しかし、多くの人々の心には、楽しい思い出として今もなお残っています。

甲子園阪神パークの主な施設

動物園：ゾウ、サル、キリンなどの動物やフラミンゴなどの鳥類を飼育。「ペンギンの海」やレオポンの飼育で有名。
阪神水族館：日本最大級の水族館。天井水槽や熱帯魚の展示、イルカの飼育が人気。
遊戯物：ジェットコースター、モノレール、観覧車、アスレチック、大飛行塔など。
プール：「デラックスプール」（のち「ビーチプール」）として夏季に営業。ウォータースライダーや人工波設備があった。
スケート場：冬季限定で、オープンスケートリンクを営業。スケート教室も開かれていた。
住宅展示場：1997年に園内に設置。入園無料となった。

その他のエピソード

イベントを開催する演芸ホールや子供向けのちびっこホールがあった。
阪神国道線で使われていた路面電車が展示されていた。
敷地内にはボウリング場「甲子園ボウル」があった。
1980年代には、『にこにこぷん』のキャラクターショーが開催された。
阪神甲子園球場の移転候補地として挙げられたことがあった。
阪神タイガースファンとして知られる声優・水樹奈々のコンサート名にその名残がある。

甲子園阪神パークは、多くの人々に夢と楽しさを提供した遊園地でした。その歴史は、人々の記憶の中に永遠に残ることでしょう。

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