鳴尾競馬場

鳴尾競馬場の歴史

鳴尾競馬場（なるおけいばじょう）は、かつて兵庫県武庫郡鳴尾村（現在の西宮市）に位置していた競馬場であり、阪神競馬場で行われる重賞競走「鳴尾記念」の由来ともなっています。競馬場の歴史は1907年（明治40年）に遡り、関西競馬倶楽部の発足を契機として、その年の11月に鳴尾川の河口西岸に関西競馬場が開設されました。この競馬場の開場に合わせて同年8月には鳴尾速歩競馬会も設立され、翌年には鳴尾川の東岸に鳴尾速歩競馬場が設立されました。

この2つの競馬場は互いに近接しており、関西競馬場は「鳴尾西浜競馬場」、鳴尾速歩競馬場は「鳴尾東浜競馬場」として知られるようになりました。しかし、1908年に馬券が禁止され、その後は補助金競馬の時代に突入しました。1910年には、この競馬業界の整理が進められ、関西競馬倶楽部と鳴尾速歩競馬会は統合され、名称が阪神競馬倶楽部に改称されました。これに伴い、鳴尾速歩競馬場は廃止され、関西競馬場は鳴尾競馬場と改まったのです。

1923年（大正12年）に旧競馬法が施行されるまで、競馬場は厳しい運営状況に立たされていました。しかし、この時期、様々な催事が行われることで運営を支えました。1911年には曲技飛行士を招いた航空ショーや民間飛行大会、1912年からは自動自転車競走などが開催されるようになりました。また、1916年には陸上競技、野球、テニスなどを行える鳴尾運動場が設立され、その一部は後に鳴尾球場として全国中等学校優勝野球大会の会場にもなりました。

1937年、阪神競馬倶楽部は日本競馬会に統合され、競馬場も阪神競馬場と改称されることとなりました。その後、1943年4月には戦争の影響で競馬場は海軍基地として接収され、鳴尾飛行場として利用されることになります。飛行場としての利用が始まると、その外観は改造され、管制塔としての役割も果たしました。日本競馬会は代替地を探し、最初は武庫郡良元村に候補地を見出しましたが、GHQに接収され、競馬場の建設は禁止される運命を辿りました。

結局、1949年には川西航空機宝塚製作所跡地に新たに阪神競馬場が完成し、入れ替わる形で廃業となった鳴尾競馬場の面影は消えました。1960年には鳴尾競馬場の一部が武庫川女子大学に払い下げられ、その後、同大学がその地に移転してくるなど、地域の発展が続きました。また、残された旧競馬場のスタンド部分も利用されることとなり、大切な文化財として保護されました。2004年にその建物は復元され、「芸術館」として新たな役割を持つようになりました。

このように鳴尾競馬場は、競馬だけでなく多様な文化的イベントの場ともなった歴史を持っていました。それは地域の人々と交流し、文化を育む importantesな役割を果たし、現在もその影響を色濃く残しています。

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