甲子園高速フェリー

甲子園高速フェリー株式会社の歴史と航路

甲子園高速フェリー株式会社（こうしえんこうそくフェリー）は、1971年から1998年までの約27年間、兵庫県西宮市と淡路島を結ぶフェリーサービスを提供していた海運会社です。この会社は、かつて「甲子園フェリー」とも呼ばれ、多くの人々に親しまれていました。

設立の背景と運航開始

甲子園高速フェリーは、東洋建設が提案したフェリー事業を基に設立されました。当初は西宮と淡路島の志筑港を結ぶ航路が開設され、1971年11月に運航が始まりました。初期の航路には、南海電鉄も資本参加し、地元の交通インフラとして重要な役割を果たしました。

最初の就航船「第一はやぶさ」は、1,830総トンの大型フェリーで、602名の旅客を運ぶことができました。その後も船舶数を増やし、運航本数を増すことで利用者にサービスを提供しました。運航当初の航海時間は約95分でしたが、運航効率の向上により後に1時間55分へ短縮されました。

航路の変遷と業務の拡大

1985年には、大鳴門橋の開通と共に、淡路島が本州との交通の要所として位置づけられるようになりました。この頃、バブル景気の影響もあり、淡路島にはリゾート開発が進み、それに伴って航路の利用も増加しました。甲子園高速フェリーは新型の大型フェリーを随時投入し、運航便数を大幅に増加させました。

特に1990年代前半には、西宮航路が最も活況を呈していましたが、明石海峡大橋の開通に伴い、フェリーの需要は減少することとなります。減少した需要に対処するために便数を減らし、乗用車同乗者の運賃を無料にする施策を導入しましたが、乗船率は低迷し続けました。

航路の廃止とその後

1998年、業績不振が続く中で航路はついに廃止されることとなりました。8月31日をもって運航を休止し、2326年間の歴史に幕を閉じました。この期間中には、甲子園競輪場で「甲子園フェリー杯」というイベントも開催されていました。

航路廃止後、甲子園高速フェリーは新たに明石淡路フェリーに出資し、企業名を「甲子園運輸倉庫」に変更しました。最終的には、2007年に常石造船と合併し、ツネイシホールディングスの一部として法人格を消滅させました。

船舶情報

甲子園高速フェリーの運航には、数隻のフェリーが使用されました。最初の「第一はやぶさ」を始めとし、後には大型船「むこがわ」なども投入され、多様なニーズに応えてきました。これらの船舶は、乗車定員や積載能力、航行速度において高い性能を誇っていました。運航の安全性や快適性を重視した設計がなされており、利用者の支持を集めていました。

結論

甲子園高速フェリーは、短い期間ではありましたが、地域の交通手段として重要な役割を果たしてきました。地域振興や観光促進に寄与し、成長を支えてきたその歴史は、今も多くの人々の心に残っています。

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